しょうがは収穫の段階や貯蔵で味わい方が違う
新たまねぎが店先に並ぶのは春先から初夏にかけてだけですが、きゅうりはもちろん、新しょうがも、みょうがもほぼ1年じゅう出回っています。本来は夏の野菜です。けれども、初夏から店先でよく見かけるようになるのが、葉しょうや、新しょうがです。ハウス栽培なので通年で出回るようになっているのでしょうが、酢の力でおいしくなるものは、やはり初夏から夏にかけての需要が大きいのでしょうね。
ちなみに、しょうがは、その収穫の段階や貯蔵により、「三つの味わい方」になっているのです。せっかくの機会なのでご説明いたします。「葉しょうが→新しょうが→ひねしょうが」の三段階です。
「葉しょうが」は、成長途中のしょうがの根で、店先には緑も美しい葉付きで並んでいます。さわやかな味わいが身上で、かつての有名な産地から「谷中しょうが」と呼ばれたり、「筆しょうが」とも言われたりします。味噌をつけて食べるとおつな味わい。本来の季節は初夏から夏のものですね。
「新しょうが」は、葉しょうがの段階のしょうがの根がさらに成長したもので、葉が枯れてから収穫されるものです。辛味もより強くなり、甘酢漬けにはいちばん合うと思います。本来の季節は秋です。
「ひねしょうが」は、収穫した新しょうがの根を貯蔵したものです。貯蔵することで辛みが増し、薬味として用いるのにちょうどよい、いわゆる「普通のしょうが」となるわけです。普段の私たちが、冷ややっこや、ソーメンでお世話になるおろししょうがは、このひねしょうがをすりおろしたものです。
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文・写真/沢田 浩
さわだ・ひろし。書籍編集者。1955年、福岡県に生まれる。学習院大学卒業後、1979年に主婦と生活社入社。「週刊女性」時代の十数年間は、皇室担当として従事し、皇太子妃候補としての小和田雅子さんの存在をスクープ。1999年より、セブン&アイ出版に転じ、生活情報誌「saita」編集長を経て、書籍編集者に。2018年2月、常務執行役員パブリッシング事業部長を最後に退社