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開湯は約800年前、500メートルの石畳が旅情をそそる

湯平温泉(由布市湯布院町湯平)は、“おんせん県”大分の中でも抜群の知名度を誇る由布院温泉から南に車で14キロほど走った山間にある。JR湯平駅からは車で約4キロほどだ。

開湯は約800年前。昭和40年代までは、それぞれの宿の中に温泉がなく、5つの公衆浴場に入りに行く「外湯文化」が残っていたのどかな温泉場だった。江戸時代に築かれた石畳の坂道が500メートルほど伸び、共同浴場の傍らに置かれた赤い丸型ポストがノスタルジーを誘う。

車1台通るのがやっとの幅で、凹凸がある石畳。浴衣に下駄履きで散策したい

昭和47年創業、20年前に「外国人客を受け入れよう」

山城屋は昭和47(1972)年の創業で、初代が山から木を切り出す仕事をしていたことから、「山城屋」と命名された。石畳のメインストリートをさらに左手に上っていった一番奥にある。地上2階、地下1階の木造3階建ての小さな宿だ。

「外国人客を受け入れよう」。山城屋がこう決めたのは、平成16(2004)年ころ。湯平温泉は昭和40年代の高度成長時代後半までは芸者の置屋もあって、そのころ何もなかった由布院温泉と比べると、圧倒的に知名度が高かったという。

しかし、1990年代前半にバブルが弾け、21世紀が迫るころには逆転して、かなり客足が減っていた。「由布院のおこぼれが少しは来ましたがそれも土日に集中して、平日は開店ガラガラ状態でした」と二宮さんは振り返る。

当時は地元の信用組合の職員。会社勤めをしながら、休日は宿も手伝っていたが、主に宿を切り盛りしていたのは、妻である女将と大女将だった。

韓国の旅行会社が大分県の旅館のマッチングサイトを立ち上げた時は、「もしお客さんが来ていただけるんなら」と、いの一番で登録した。由布院エリアの登録宿はたった3軒で先行者利益があった。

石畳のメインストリート沿いにある共同浴場「銀の湯」
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口コミの旅行サイトで旅行先を決める訪日外国人客...
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野添 ちかこ
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