数を減らす一方の町中華界。しかし、その味、楽しさ、使い勝手のよさを残したいと、町中華に参入する若手たちも登場。最後に「ネオ町中華」とでも呼ぶべき魅力に溢れた店を紹介します!
画像ギャラリー数を減らす一方の町中華界。しかし、その味、楽しさ、使い勝手のよさを残したいと、町中華に参入する若手たちも登場。最後に「ネオ町中華」とでも呼ぶべき魅力に溢れた店を紹介します!
店も味も細部にこだわりが宿る、幸福を呼ぶ町中華『ラッキーアレキサンダーチャイナ(LUCKY ALEXANDER CHINA)』@神泉
渋谷・原宿は周辺で数々の飲食店を手掛けるオーナー・車田さんのホームタウンだ。毎日通る道でテナント募集の貼り紙を見つけ、その場で即決。で、誕生したのがこの店。
実は前から中華をやりたかったそうで、というのも「減りつつある町中華を日本のカルチャーとして次世代に繋ぎたい」との思いがあったから。
開業前は店に籠ってレシピを考案。曰く「定番料理を分解して再構築」し、毎日食べても飽きない味を目指したそう。そんな熱量が宿る料理の数々、人気は手包みの餃子だ。
幸運黒酢豚2200円、仔羊肉水餃子(5個)770円
焼きもあるが水餃子はモッチリした皮から仔羊肉の旨みじゅわっ。うメェェ……言っちゃいますよね。他にも大きな塊肉を柔らかく仕上げた酢豚など研究し尽くした美味に胃袋もラッキー。ここは町中華的開運スポットです。
オーナー:車田篤さん「飲食は人を元気にする場。その思いを店名に込めました」
[住所]東京都目黒区駒場1-16-9片桐ビル1階
[電話]03-6804-7352
[営業時間]12時~15時LO、17時半~21時半LO、※金・土・祝前日の夜は~22時LO
[休日]無休(年末年始は休み)
[交通]京王井の頭線神泉駅南口・駒場東大前駅東口から、ともに徒歩8分
異国の雰囲気漂う路地で見つけた台湾の日常『マンション台北』@大塚
『マンション台北』。ディープな大塚の路地でこの店名。気になる、すごーく気になる。探検気分で向かった雑居ビルの1室、扉の先は……台湾の食堂(みたいな現地感)だった!
台湾といえば魯肉飯が王道だけど、こちらは豚足など煮込み料理を中心とした家庭的な味にロックオン。皮付き豚バラ肉をくるくる巻いて串に刺した姿がインパクト大の名物が「コンローハン」だ。
爌肉飯(コンローハン)890円
醤油ベースの甘辛いタレで煮込んでご飯に乗せたもので、いわゆる台湾風角煮丼。ほろりと柔らかい肉とほどよいスパイスに白飯が進む進む。いやこれ酒も進む。
そして定番の豚足はプルンと弾むゼラチン質に旨みたっぷり。本場の人気店の味を再現したんだそう。しかも定期的に現地に通っておいしさアップデート。台湾の日常なら大塚へGO!
店長兼料理長:西村欣晋さん「台湾人の方からも故郷に帰ったようだと言われます」
[住所]東京都豊島区南大塚2-40-11・2階
[電話]03-6902-2081
[営業時間]17時半~23時(22時LO)
[休日]原則月・火、※祝の場合は営業
[交通]JR山手線ほか大塚駅南口から徒歩6分
4種4様の「叉焼(チャーシュー)」の旨さに紹興酒プリーズ!『福籠叉焼(フーロンチャーシュー)』@中野
ラーメンの上にのる旨いチャーシューで酒を浴びるように飲みたいと思ったことないですか。私はあります。夢を叶えてくれたのがこちら、人気ラーメン店「鶯屋」の系列。何せ主役が「叉焼」だ。
店頭に吊るされた肉塊に旨さを確信、鼻息荒く注文したのが4種盛り。豚肉は群馬産「和豚もちぶた」を使い、低温調理した柔肌のモモ、完成に4日掛ける肩ロース、コク深いバラ、皮目パリッの鶏も揃った4種4様がひたすら酒を呼ぶ。
叉焼四種盛り800円※トッピングはマキシマム濃い煮玉子180円+味付メンマ80円、焼売(4コ)720円
しかもこれらをアレンジした回鍋肉など1品料理も楽し~。魚介系ダシのあっさりラーメンも忘れちゃならぬ。動物系ナシを貫くのは一緒に味わってほしい「叉焼」の味を際立たせるため。肉をスープに浸すと脂の旨みがじわじわ溶け出す味の変化に深く感動。こりゃすごいわ。
店主:鎌倉良行さん「叉焼は量り売りのテイクアウトもあります!」
[住所]東京都中野区新井1-14-14
[電話]03-6454-0444
[営業時間]11時半~15時、17時~21時、日:11時~19時半
[休日]無休
[交通]JR中央線中野駅北口などから徒歩8分
細胞に染みわたる、やさしく誠実な白湯スープの旨さ『中華美食トミーズキッチン』@中目黒
まるで雲海を思わせる幻想的な1品だ。熱々をふうふう口に含めばとろんと舌を包むやさしい旨み。身も心もジーン……。落ち込んでる時、何も言わずスッとこれを出されたらちょっとウルウルしちゃうかも。名物「鶏煮込みそば」はそんな味。
特製白湯鶏煮込みそば1300円
丸鶏とモミジを煮込んだスープに基本塩だけという味付けはどこまでもまろやかで、かん水不使用の麺は絹のような口当たり。この只者ではない美味を作るのが中華ひと筋約40年、店主の富谷さんである。
老舗「香妃園」でのべ17年働いた経験を生かし、デリバリー専門を経て2年前に店を構えた。雰囲気はカジュアルだが、その熟練の技から生み出される本格的な料理には目を見張るはず。
どれも先のスープを下味に使い、油控えめ、素材を生かした実直な味。癒されます。
店主:富谷宗久さん・いそみさん夫妻「地元に根付き、愛される店を目指しています」
[住所]東京都目黒区青葉台1-17-2青葉台117ビル2階
[電話]03-6427-0549
[営業時間]11時半~15時、17時~22時(21時半LO)
[休日]火・隔週の水
[交通]東急東横線ほか中目黒駅正面口から徒歩8分
撮影/西崎進也、取材/肥田木奈々
■おとなの週末2025年2月号は「醤油ラーメン」
※2024年12月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
…つづく「ガチ中華の聖地・池袋北口」でも、とってもおいしい町中華をレポートしています。