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外はカリッと、中はしっとりほわほわ、ほんのり甘い絶品スコーン

英国のアフタヌーン・ティーに欠かせないのが、スコーンである。2~3段重ねのティースタンドに、キュウリのサンドイッチやケーキと一緒にスコーンは乗っている。ずんぐりむっくりの丸い姿がかわいらしい焼き菓子である。

紅茶とスコーンのセットには、クリーム・ティーもポピュラーだ。クリーム・ティーとはいうけれど、紅茶にクリームを入れるのではなく、スコーンにジャムとクロテッドクリーム(アフタヌーン・ティーに欠かせない英国の伝統的なクリームで、デヴォン、コーンウォール両地方の名産)を塗って食べる。

パリッと焼けたスコーンを、割れ目に沿って2つに分け、クロテッドクリームとジャムを乗せる。クリームを先に乗せるのが、デヴォン式。ジャムを先に塗るのがコーンウォール式。ちなみに彬子さまは、ジャムが塗りやすいからという理由で、コーンウィール式がお好みだという。

彬子さまは、友人の自宅でしばしば本場英国式の、つまり「家庭の手作りスコーン」をごちそうになった。友人のジェイミーは、彬子さまの住むマートン・コレッジ(学寮)の向かいのチャペルで働いている男性である。彼の焼くスコーンは「とんでもなくおいしい」と評判で、彬子さまたちは誘い合わせ、お昼を抜きお腹をすかせて彼の家でお茶をいただくのである。

「そこでジェイミニーが出してくれた焼きたてのスコーンは目が飛び出るくらいのおいしさだった。外はカリッと、中はしっとりしてほわほわ、ほんのりした甘さの加減も絶妙なのである」

と、彬子さまは絶賛している。ジェイミーのスコーンは、プレーンとシナモン味が基本で、ときどきリクエストに応じてチーズ味も焼く。「ジャムとの相性が悪い」という理由で、レーズン入りは作らない。

日本に帰ったらあの絶品スコーン作りたいと思い、彬子さまはジェイミーからレシピを教わった。しかし、日本ではどうしても同じ味にならなかったという。
「あの味は英国の空気とジェイミーの手あってこそのものなのだ」
と思う彬子さまであった。(連載「天皇家の食卓」第35回)

『愛子さま 女性天皇への道』(高森明勅著、講談社/講談社ビーシー)

参考文献:『赤と青のガウン オックスフォード留学記』(彬子女王著、PHP文庫)

※トップ画像は、宮内庁提供

文/高木香織
たかぎ・かおり。出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

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