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スープと味噌、脂、麺、具材が見事に調和した一杯

まず運ばれたのは、「味噌 煮卵入り」。盛り付けも美しく、このビジュアルを見ただけで心が和む。具材はチャーシューと、ねぎ、もやし、メンマ、そしてトッピングの煮卵。チャーシューの上にのっているのはニンニクと思いきや、しょうが。うどんにトッピングするようにのせてもよいと思うが、この方がスープに溶けやすい。そんな細やかな配慮がうれしい。

「味噌 煮卵入り」(1130円)。チャーシューの上にのるショウガが印象的
「味噌 煮卵入り」(1130円)。チャーシューの上にのるショウガが印象的

スープを飲んでみると、味噌ならではの芳醇なコクが口の中いっぱいに広がる。後味のほのかな甘みも心地よく、味の余韻がいつまでも続く。滋味とはこのことを言うのだろう。

店の公式HPを見ても、味噌については書かれていない。おそらく、複数の味噌をブレンドしているのだろう。味噌の良い部分だけが抽出されていると思った。

丼の底の方をレンゲですくってみると、挽き肉と言うには大きすぎる肉片が出てきた。きっと、これはスープを仕込む際に炒めた肉だろう。その旨みと味噌が相まって、おいしさが幾重にも広がっていくのだ。

芳醇な味噌のコクに負けない麺のクオリティにも驚いた
芳醇な味噌のコクに負けない麺のクオリティにも驚いた

麺は札幌から直送される玉子縮れ麺で、もっちりとした食感。コクのあるスープに負けず、なおかつスープとの絡みが絶妙だ。この麺は味噌ラーメンのためにあると言っても過言ではない。スープと味噌、脂、麺、具材が見事に調和した一杯に仕上がっている。いやー、こんなに旨い味噌ラーメンは食べたことがない

ゴロゴロと入るチャーシューが口の中で大暴れ

約2分の時間差で「炒飯」が運ばれた。厨房から中華鍋を振る音が聞こえてくるので、注文ごとに作っているのだろう。金色に輝く様をひと目見ておいしいと確信した。具材はチャーシューとねぎ、玉子のシンプルだが、ひと口食べて驚愕した

金色に輝く「炒飯」(850円)。米の一粒ひと粒にチャーシューの旨みが染み込んでいる
金色に輝く「炒飯」(850円)。米の一粒ひと粒にチャーシューの旨みが染み込んでいる

強火で炙ったチャーシューの香ばしさとジューシーな味わいが最初にガツンときて、後からそれを追いかけるようにお米のやさしい甘みがふわっと広がる。そこらの中華料理店よりも絶対に旨い! もう、こんなの無限に食べられるではないか!

おいしさの秘密はゴロゴロと入ったチャーシューであろう。これが口の中で大暴れするのである。

あ、富山といえば米どころとしても有名だから、ご飯そのものもレベルが高いことに気がついた。丼ものや寿司、カレーなども同様に、具材やネタの完成度もさることながら、ご飯が全体のクオリティを底上げするのである。むしろ炒飯はご飯がメインであるから、お米のクオリティに味そのものを左右されるのである。

大きくカットされたチャーシューがゴロゴロと入る
大きくカットされたチャーシューがゴロゴロと入る

「味噌 煮卵入り」との相性もすこぶる良く、互いの味を引き立て合っている。自戒を込めて何度も書くが、味噌ラーメンは炒飯に合わないと勝手に決めつけていた自分が本当に情けない。スープを味わいながら炒飯を食べて、残しておいたチャーシュー、そして煮卵をおかずに最後のふた口を味わった。

食べ終わって店の外へ出ると、冷たい風が頬を撫でた。しかし、味噌ラーメンと炒飯のおかげで身体はポカポカに暖まっていた。ご馳走様でした!

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取材・撮影/永谷正樹

1969年愛知県生まれ。株式会社つむぐ代表。カメラマン兼ライターとして東海地方の食の情報を雑誌やwebメディアなどで発信。「チャーラー祭り」など食による地域活性化プロジェクトも手掛けている。

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永谷正樹
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