チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」。第52回は、北陸の人気ラーメンチェーン『ラーメン世界』へ。福井出張時に訪れ食べたのは、2人に1人が食べるセットでした。
チャーラー好きのことを理解しているメニュー構成
ずっと気になっていたローカルチェーンがあった。北陸方面へ行くとよく見かける『ラーメン世界』がそれだ。
北陸発祥のラーメンチェーンといえば、『8番らーめん』があまりにも有名である。店舗数も多く、タイやベトナムにも出店している。北陸においては独壇場といっても過言ではない。そんな巨大ラーメンチェーンである『8番らーめん』に闘いを挑んでいるように思えて、いつか行こうと思っていたのだ。
福井県敦賀市へ出張したときのこと。仕事の前に腹ごしらえをしようと思い、車で市内を走っていたときに見つけたのが今回紹介する『らーめん世界 福井敦賀店』である。駐車場もあるし、この日の昼食はここで摂ろうと思い、車を止めた。
お昼時とあって、店内はほぼ満員。それでも何とかカウンター席の端へ滑り込むことができた。メニューを見ると、実に多彩。醤油豚骨をはじめ、鶏塩や加賀味噌、醤油、担々麺などラーメンだけでも9種類もある。
セットメニューも充実しまくり。やきめしとのセットは、ハーフサイズの「半ちゃん」(1090円)と並盛の「レギュラー」(1270円)、大盛の「がっつり」(1530円)と3種類を用意。うん、チャーラー好きのことをよーくわかってらっしゃる。
なお、価格はデフォルトのラーメン「旨み醤油豚骨」(単品は790円)を組み合わせた場合だが、すべてのラーメンに対応している。しかも、麺の量も「ミニ」(−50円)と「大盛」(+250円)に変更可能。いやー、素晴らしい!
ラーメンが食べたいという欲望を満たす1杯
筆者が注文したのは、「レギュラーセット」。ラーメンは北陸だけに「加賀味噌らーめん」(840円)にしようか迷った挙げ句、やはりここは定番の「旨み醤油豚骨」にした。
これが「レギュラーセット」。チャーラー好きにはたまらない眺めだ。やきめしが並盛だけに、ボリュームも満点。これは食べ応えがありそうだ!
まずは筆者の作法に則り、ラーメンからいただく。
スープは和歌山ラーメンを彷彿させる茶褐色。しかし、豚骨特有の匂いはまったくない。
『ラーメン世界』のHPによると、スープのベースとなっているのは豚のげんこつや豚頭、鶏のもみじに、生姜、ねぎ、にんにくなどの野菜。それらを形がなくなるまで9時間じっくりと煮込んでいるとか。しかも、セントラルキッチンではなく、各店舗で閉店後から仕込むという。
具材で目に飛び込んでくるのはチャーシュー。デフォルトでありながら3枚ものるのはうれしい限り。ほかの具材はもやしとねぎ。『8番ラーメン』の定番は、たっぷりのキャベツやもやしなどの野菜をトッピングした「野菜ラーメン」だが、このラーメンはその対極にあるように思える。カロリーや栄養バランスを気にすることなく、本能の赴くままに食べるのがこの1杯なのである。