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なまこ、ガスエビ、北陸の海の幸と地酒を満喫した夜

「食欲がないから」と「なまこ酢」を一皿注文。能登のナマコはコリコリとした食感が何ともいえずおいしい。地酒とともに味わううちに、ほかのメニューも食べたくなってしまった。

「なまこ酢」が食欲を誘った

「うちに来たらやっぱりガスエビは食べた方がいいですよ」。お店の人にそういわれて、ガスエビの石焼きを頼んだ。鮮度が落ちやすいから、地元でしか流通しない “幻の海老”で、「白ガスエビ(クロザコエビ)」という種類らしい。「生で食べられるくらいのものだから、すぐ食べたほうがいいですよ」。促されるままに口に放り込むと、プリっと甘くて濃厚な身が、口の中でとけていった。

旨すぎる−−。ガスエビの尻尾もカリカリに焼いて、日本酒でキュッといくと、これも酒の肴にちょうどよい。

名物のガスエビ

お造りの皿には、白皮カジキ、柳サワラ、甘エビ、イカ、マトウ鯛の昆布じめなどがのっている。「刺身は全部、エイジングしています」と店の人が言う。北陸でしか味わえないような魚ばかりで、幸せな気分になれる。隣の席の男女客とも仲良くなって、まさに一期一会の出会いに盛り上がった。温泉街に繰り出す楽しみはこんなところにもある。

お造りも一人前で盛り付けてくれる

全く事前に調べることなく、店選びをしたが、この店は『ミシュランガイド北陸2021』で価格以上の満足度が得られる「ビブグルマン」に選ばれた店だった。当日の予約で入れたが、平日でも満席のときもあるようだ。

さらに「たらの芽の天ぷら」を頼み、おにぎりで〆る。「お腹が空いていない」と思っていたはずなのに、複数の皿をぺろりと平らげてしまった。お会計は、6380円。素泊まり金額を合わせて1泊1万4000円程度ならば、リーズナブルな温泉旅だったといえるのではないだろうか。

ラブライバーのためのタオル&ポストカードも

宿泊した「ゆのくに天祥」に置かれた女の子のキャラクターが気になっていた。スクールアイドルプロジェクト「ラブライブ!」のキャラクターで9人中6人が宿の制服を着用している。「ゆのくに天祥」とのコラボは2024年12月から始まったそうである。

「ゆのくに天祥」の制服を着た「ラブライブ!」のキャラクターのパネル

スマートフォン向けアプリ「Link!Like!ラブライブ!」をメインに、メンバーおよびキャストによる動画配信、雑誌展開、楽曲CDのリリース、ライブイベントなどがメディアミックスで行われていて、「ゆのくに天祥」も動画中に登場している。

キャラクターのパネルと記念撮影をしたり、声優さんが宿泊した客室に泊まったりする聖地めぐりがファンの間で流行っていて、入浴プランの利用か宿泊で、タオルとポストカードを500円で購入できる権利が得られる。

「ラブライブ!」のタオルとポストカードは500円。入浴プラン以上で購入できる

「ラブライブ!」のファンの人もそうでない人も、オリジナルHP限定の素泊まりプランはかなりお得。ぜひチェックしてみてほしい。

【山代温泉】
神亀2(725)年、僧・行基が霊峰・白山へ修行に向かう途中、カラスが泉で傷を癒やしているのを見て、温泉を見つけたといわれる。江戸時代には加賀藩の湯治場として栄え、明治・大正期には与謝野晶子・鉄幹夫妻、泉鏡花、北大路魯山人ら文人墨客が訪れている。

【宿データ】
『ゆのくに天祥』
住所:石川県加賀市山代温泉19-49-1
電話:0761-77-1234
泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉
アクセス:北陸新幹線加賀温泉駅から無料送迎バスで約10分

文・写真/野添ちかこ
温泉と宿のライター、旅行作家。「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。「NIKKEIプラス1」(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」、「旅の手帖」(交通新聞社)に「会いに行きたい温泉宿」を連載中。著書に『旅行ライターになろう!』(青弓社)や『千葉の湯めぐり』(幹書房)。岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部理事。

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野添 ちかこ
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