2010年から海外のラーメン事情を調査
今でこそラーメンは日本食の代表として世界を席巻しておりますが、その広がりを見せ始めたのが2008年頃。ちょうど「一風堂」がニューヨークに出店を果たしたタイミングから、アジアのみならず欧米にも広がり始めました。
そこでラー博では、2010年頃から本格的に海外のラーメン事情の調査をスタート。大別すると以下のようなパターンに分かれます。
1.日本に店があるラーメン店の海外進出。
2.日本に店がなく、現地の日本人が始めたラーメン店。
3.日本に店がなく、現地の人が始めたラーメン店。
そして提供するラーメンのスタイルは、
4.「日本のラーメンスタイルを踏襲した味」と、
5.「日本のラーメンをベースに、現地の気候・風土・食文化を取り入れた味」に、大別されていました。
私たちは、日本に店がなく、現地の日本人、または外国人が始めたお店(調査したパターンの2と3)で、日本のラーメンをベースに現地の気候・風土・食文化を取り入れた味(5)のラーメン店を探し求めました。そして、日本では目にすることのない海外のラーメン事情をYouTubeラー博TVにて「世界ラーメン紀行」と題して配信することとなりました。
日本にない味と志の「逆輸入ラーメン」
調査をしているなか、気づいた点がありました。それは、海外は日本とは違い、ラーメンを作る環境が整っていない点。今は流通が変わってきて環境は進化しているとは思いますが、2010年当時は整っていませんでした。たとえば麺ですが、地域によっては製麺屋さんもないため、自家製麺をするのですが、かん水が手に入らない、パン用の小麦しか手に入らない、製麺機を日本から空輸して故障した場合、修理してくれる業者さんがいない、といった感じです。
また、豚骨や鶏ガラも日本のようにきれいに加工されておらず、とんこつラーメンでよく使用する豚頭(トントウ)などは、毛がついたままの状態です。そんな限られた環境のなか、知恵と工夫により日本では生み出せないラーメンが誕生しており、私たちはその味と志を紹介したいと思いました。それが「逆輸入ラーメン」のコンセプトです。
2013年時点で世界17カ国26都市を訪れ、アメリカ・ロサンゼルスはハリウッドにあった「IKEMEN HOLLYWOOD」(現在は閉店)を“逆輸入ラーメン”シリーズの第1弾として紹介することとなりました。2013年4月のことでした。