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豪華路線に舵を切って苦戦

510型で大成功を収めたブルーバードだったが、サメブルの愛称もあった4代目の610型は510型とは対照的に豪華路線に変更。車名もブルーバードUと”U”のサブネームが付けられた。この路線は5代目にも踏襲されたのだが、510型時代に比べて存在が薄くなり、販売面で苦戦。当時のユーザーはブルーバードに豪華装備は求めていなかったようだ。それでも2世代にわたりユーザーのニーズをつかめなかったのは日産の痛いところで、ライバルのコロナとの販売合戦は苦戦を強いられた。まぁ、コンセプトだけでなく排ガス規制の強化によりクルマの魅力が低下したという点もある。

サメブルの愛称が着けられていた2Lエンジンを搭載した610型

日産はブルーバード復活をかけて6代目の910型を1979年に登場させたが、当時の日本車はほぼ4年に1度のフルモデルチェンジというサイクルを守るというのが鉄則だったなか、810型は販売不振により3年4カ月という短命に終わった。この異例に早いフルモデルチェンジは話題となったが、日産の危機感のあらわれであると同時に910型への期待の高さだ。一刻も早く新型を登場させないとヤバい状況と日産が判断したのだろう。結果的にはこの英断が大成功となった。

ブルーバードが豪華路線となって失敗した810型

510型の再来

910型ブルーバードは1979年11月にデビュー。結果から言えば、大成功を収めた510型の再来と言われるほど人気モデルとなったのだが、その要因のひとつは510型を彷彿とさせるエクステリアデザインにある。デザインコンセプトは『シンプル&クリーン』というもので、510型で採用されたスーパーソニックラインを再現した直線基調で今見れば安っぽいデザインに映るが、当時はこれがスポーティでカッコよかった。筆者は日本車に興味を持ち始めた頃だったが、ブルーバードとコロナでは断然ブルーバード派だった。

510型を彷彿とさせる直線基調のデザインがシャープですっきりしていて大好評

ボディタイプは、デビュー時には4ドアセダン、2ドアハードトップの2タイプで後にワゴン、バン、4ドアハードトップを追加。4ドアセダンはセンターピラーをドアサッシュで覆うなどシンプルながら芸の細かさもあった。

現代のクルマは効率を追求するためにグレード構成が非常にシンプル1エンジン、3グレードなどというのが当たり前になっているが、昔のクルマは非常に多くのモデルがラインナップされていた。910型ブルーバードはデビュー時にボディタイプ、エンジン、トランスミッション、装備などの違いにより38モデルが設定されていた。今の基準では驚く数だが、当時としは非常にシンプルでグレード整理されたと表現されていたのには驚く。まぁ、1モデルで50タイプ以上もタイプが設定されていたモデルも多かった。38というのはユーザーのニーズを満たす最小限のラインナップだったわけだ。

リアビューもシンプルながらスポーティ感満点

エンジンは4気筒のみ

910型を登場させるにあたり日産は610型、810型での失敗を教訓に日本で販売するブルーバードには6気筒エンジンは不要という決断を下した。それは販売面で苦戦した610型、810型は前述のとおり豪華路線で失敗したから。ボディの大型化に伴い2Lの直6エンジンを搭載していたが、910型では北米用に直6搭載モデルは用意していたものの、日本仕様はすべて直列4気筒SOHCで、1.6L(Z16型)、1.8L(Z18型&Z18E型)、2L(Z20E型)の合計4種類でメインは1.8Lだった。1.8Lというのは税制上では中途半端な排気量だが、1.6Lと2Lの間を埋める貴重な存在として当時は重宝されていた。

エンジンは直列4気筒のみで、排気量は1.8Lがメイン

実用性の高さも魅力

スポーティさが売りだった910型ブルーバードだが、実用性の高さは折り紙付き。1.8Lクラスのモデルのなかでも広々とした室内は快適だった。2ドアハードトップはドアが2枚ゆえ乗降性は4ドアモデルには劣るが、純粋なクーペと違いリアシートは広かった。今では2ドアモデルは絶滅危惧種になっているが、当時の若者のニーズを満たすには2ドアモデルは必須だった。

シート素材にもこだわりが感じられる。豪華志向のユーザーの満足度も高かった

4ドアセダンは高級なシート地を使ったエレガント仕様も設定され、小さなクルマにも豪華さを求めるユーザーのニーズも満たしていた。当時日産のフラッグシップのレパードのような豪華さはかったが、先進性抜群のデジタルメーターも採用していた。

当時の若者の憧れのアイテムのひとつ、デジタルメーターも採用
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先進性こそブルーバードの真骨頂
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この記事のライター

市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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