乗ってビックリ!!
スポーツ800は筆者が生まれる1年前にデビューしたクルマなのだが、自動車雑誌『ベストカー』の取材、イベントなどで6台ほど違う個体を試乗したことがある。どれもがノーマルコンディションを保った素晴らしい個体だった。イグニッションキーを捻ると、790ccの水平対向2気筒OHVエンジンは何事もなく簡単に始動。さすがは大衆車に向けたスポーツカーだけあって難しさは皆無。で、注目はエンジン音だ。同じ2気筒エンジンでもジムニーなどが「ポロンポロン」といった感の音なのに対してスポーツ800は「パタパタ」という独特のエンジン音を奏でるのだ。
そして走り出しから加速時に至るまで、車内に入ってくる風切り音が小さいのに驚かされれた。これも空力性能のよさに起因するものだ。さすがに個人オーナーのクルマということ高速走行はしなかったが、街中の走りでもその軽さは正義だと感じた。
ライバルはSシリーズ
スポーツ800のライバルとしてホンダのSシリーズが挙げられる。それは1965年7月に千葉県の船橋サーキットで開催された「全日本自動車クラブ選手権」での死闘に起因している。詳細は割愛するが、浮谷東次郎のドライブするスポーツ800が生沢徹のS600を奇跡の大逆転するあのレースが、デビューしたばかりのスポーツ800の名を世に広め、S600とのバチバチのライバル関係をイメージするようになったのは間違いない。
S600はスポーツ800よりも1年早く登場し、S800はスポーツ800の翌年の1966年に登場。1960年代のトヨタとホンダのライトウェイトスポーツはどちらも魅力的で、キャラが被るがまったく別物に仕上げられていて好対照。高回転の権化のようなSシリーズのエンジンに対し、スポーツ800はお世辞にも高性能ではない。しかし、両モデルともスポーツカーとして高性能を誇った。これはどっちが正しいではなく、運動性能の追求に対するアプローチが真逆だったということ。
ただし、カリカリチューンのスポーツと大衆スポーツの差は大きかった。そんなこともあり、マニアックなSシリーズに対しスポーツ800のほうが下に見られていた感は否めない。少なくとも絶版後の評価はそういった感じだ。
トヨタのハイブリッドカーの元祖
トヨタは1997年に初代プリウスを登場させたハイブリッドのパイオニアであり、現在もハイブリッドの分野で世界をリード。
トヨタは異なる動力源を持つハイブリッドカーの研究を1965年に始めている。その研究車両として選ばれたのがスポーツ800で、ガスタービンエンジンにモーターを組み合わせたシリーズハイブリッドとなっていた。
トヨタはガスタービンハイブリッドシステムを搭載したショーモデルを東京モーターショーで2回発表している。1975年にセンチュリー、1977年にスポーツ800だ。1977年といばスポーツ800は生産終了から10年近く経過していることになるため、研究車両として重宝されていたことがわかる。
ハイブリッド技術はガスタービンエンジンを実用化するための研究として取り組んでいた。しかし当時はモーター、インバーター、バッテリーの課題を克服できず市販化を断念したとトヨタは公表。結果はどうであれトヨタのハイブリッドの元祖はスポーツ800ということになる。ちなみに現代ではスポーツ800にモーターを搭載したコンバージョンEVなどもあり、今でも実験者として重宝されている。






