やっぱり名店は偉大なる旨さだった!
戎「僕のイップスが解消されたのは名店の味、それもやはり冷やかけでした。『蔵之介』はぶっかけが人気ですが、夏季限定で冷やかけを出してるんです。つるっとした麺は噛むともっちり、イリコの効いたツユ。うーん、これぞ讃岐。やはり冷やかけは讃岐うどんが似合うんですよねぇ」
井「蕎麦も名店で驚く味があったんだから!『更科堀井』の『冷やし鶏そば』。ドライトマトを煮出した鶏ダシスープで、蕎麦ツユが入ってないの。蕎麦はレモン切り。今まで”蕎麦はこうあるべき”みたいなものがある気がしていたけど、老舗がこういう遊び心のある味を作ってくれると、もっと自由でいいんだと思えた」
岡「私が今回の取材でへぇ~と思ったのは、温かいかけ用のツユをそのまま冷やかけに使う店が多いということ。やっぱり名店はツユの完成度が高いから、冷やかけにしてもおいしいんだと納得。そもそも冷やかけの醍醐味って、蕎麦のおいしさはもとよりダシがポイントだと思うのよ。『じゆうさん』とか、飲み干したくなるツユを作れるお蕎麦屋さんはリスペクトだわ。ぶっかけよりもシンプルで洗練されている具が多いということも私の好みなのかも」
『蕎麦処・酒場 大吉田』元祖冷かけ550円
肥「いやいや、同じ蕎麦党から言わせてもらうとぶっかけだって負けないよ。『銀杏』の『銀涼そば』は運ばれてきた瞬間に思わず歓声。揚げもちやおかかなど具材は多彩だけど品があるんだよね。ぶっかけって具を全部混ぜて食べる楽しさもあるし、それによって味わいが変化する面白さもある。やっぱりぶっかけだよ」
井「でもツユもアレンジできるのは冷やかけじゃない?『手打そば さかき』の『フルーツトマトと海老の冷やしそば』がそう。蕎麦ツユとトマトを限界まで主張させながら調和させるという、どちらも妥協しない味がいい」
菜「誌面見ると真っ赤だね!」
井「でしょ、『邪道だからと絶対食べないと言う人もいるんです』と店主は言ってたけど、ちゃんと蕎麦ツユの味だし、フレッシュなトマトの甘酸っぱさもある。店主の挑戦に拍手を送りたい!」
肥「蕎麦の冷やかけやぶっかけは旬の食材や夏限定が多いからこそ店主の遊び心や今しか味わえない風情を感じるんだよね。『いさ美庵』の夏の味『冷やし茄子そば』も素朴な旨さにシビれたなー。時季を待ちわびる人もいるんだって。うどんとはまた違う魅力。どーよ、うどん党の党首」
『そばと酒 えもり』揚げなすの冷やし蕎麦1400円

戎「店主の遊び心ならうどんも同じです!とにかく麺の圧倒的な個性、ツユの奥深さ。新店から名店まで食べ歩いて、そのバランスの良さに感服しました。コシ強好きとしては、その最高峰”富士吉田うどん”を提供する『五葵』は必食。とてつもない剛麺、小麦の香りを噛み締めてほしい。店主曰く『地元のそれよりもコシがある』とか。ぜひ食べてみてください。あぁ、うどん最高!」
『手打うどん いわしや 青山一丁目店』ひやかけ750円
岡「へえ、うどんもいいね。無性に食べたくなってきたわぁ」
菜「私は今日、蕎麦屋で飲む」
井&肥「皆ではしごする?」
戎「両党各派の討論も平和にまとまったようで(笑)。まだまだ残暑が厳しい季節、読者のみなさんはどちらの涼味を楽しみますか?」
文/肥田木奈々、撮影/西崎進也(えもり)、小島昇(いしヰ)、大吉田(小澤晶子)
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■おとなの週末2026年9月号は「ぶっかけと冷やかけ」

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