「受験は競争、受験生もアスリート」。トレーナー的な観点から、理にかなった自学自習で結果を出す「独学力」を、エピソードを交えながら手ほどきします。名付けて「トレーニング受験理論」。その算数・数学編です。第17回では、大谷翔平選手と算数の関わりに触れながら、算数が苦手になる原因を探ります。
令和6年度の小5算数の教科書に
2023年8月23日、大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手は、レッズ戦に先発投手としてマウンドに上がりましたが、肘に違和感を感じ2回途中で降板、検査の結果、右肘じん帯の損傷と診断されました。今季はもう投手として登板することはないとのことです。このニュースはマスコミやインターネット上を駆け巡り、多くの人に衝撃を与えました。ほとんど休むことなく、投打両面において大リーグでも一流の活躍を続ける大谷選手。ついに皆が恐れていたことが起こってしまいました。その後も打者として試合に出場し、周囲を驚かせている大谷選手ですが、くれぐれもけがの回復に努めて、長く活躍してくれることを願っています。
さて、その大谷選手が、令和6年度の小5算数の教科書に登場することになりました。「今でも算数はよく使っていますよ」という大谷選手。算数とのかかわりについての談話が掲載されるようです。教科書の内容はまだ見ることは出来ませんが、その紹介記事が出版元の東京書籍のサイトに掲載されています。
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「打つ時の構え方はとても繊細で複雑なんですが、それをいったん単純な三角形に置き換えて、体重のかけ方や足の開きなどを考えることがあるんですよ。底辺にあたる部分の長さをシューズ何足分にして、斜辺と底辺の角度は、・・・というようにして考えるんです」
(引用:「大谷翔平選手と算数のひみつ ~私と算数~|math connect|東京書籍」)
https://mathconnect.tokyo-shoseki.co.jp/free/20230515-01/
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ピッチャーとしての大谷選手と言えば、時速160kmを超える剛速球と、切れ味の鋭い多彩な変化球が印象的ですが、単にフィジカル(身体)面で優れているだけでなく、確率を考えた頭脳的なピッチングを行っていることが分かります。
バッターとしても、感覚だけに頼るのではなく、モデル化や数値化して評価・分析を行う理論的トレーニングを行っているようです。
現代スポーツで算数・数学が活躍
このように、現代スポーツでは、トレーニングや試合運びにさまざまなデータや情報が活用され、算数・数学が活躍しています。しかしこれはスポーツ界に限りません。仕事や日常生活において、さまざまな形で情報処理技術との関わりが増しており、データサイエンスやAIに関する知識が、文理問わず求められるようになってきました。
そしてついに高校でも、プログラミングなどを学ぶ「情報」が、これまでの5教科(国語・英語・数学・理科・社会)のほかに1つの独立した必修科目として追加されることになりました。
理数系の基礎は数学、とくにその土台である算数です。算数は今後ますます重要性を増すものと考えられます。したがって、算数が苦手な子どもさんをお持ちの場合は、早い段階でその芽を摘むことが必要です。