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算数が苦手となる原因

算数が苦手な子はどこでつまずくのでしょうか。その原因をたどってみると、四則演算(たし算、ひき算、かけ算、わり算)や「分数」「割合」などの基礎的な事項が十分理解できていないことに行きつきます。

たとえば、かけ算でも、かける順番によって意味が異なってきます。

「1人3個ずつアメを配ります。5人だと何個必要でしょうか」という問題の場合、
3×5=15(個)
と計算するのが自然ですが、「人数の3倍のアメが必要」と考えれば、
5×3=15(個)
と計算することもできます。

「3×5」と「5×3」のどちらの方が正しいということではなく、正しく解釈してその計算ができているかどうかが大事です。

算数が苦手な子の場合、式の意味を考えるどころか、「問題文に3と5があるから3×5」という計算をしている子もいます。このような子は、かけ算ではあまり問題が発覚しませんが、わり算となると、「3÷6」と計算すべきところを、(おそらく割り切れるからと言う理由で)「6÷3」と計算したりします。この時点で、そのまま進めばその子の算数・数学の道はいばらの道であることが見て取れます。

賛否両論「くもわの法則」

算数でつまずきやすい第一関門は、小学3年生から学ぶ「分数」、そして第二関門は4年生から学ぶ「割合」です。

中学受験の世界には、「くもわの法則」という有名な方法があります。これは、割合に関するつぎの公式を使いこなすための方法です。

(くらべられる量)=(もとになる量)×(わりあい)

この式を、通称「てんとう虫」と呼ばれる図を使って、機械的に計算することが出来るのです。割合の概念がなかなか理解できない生徒でも、この「てんとう虫」図を使えば、問題を解けるようになるかなり強力な方法です。上式の各項の頭文字をとって「くもわの法則」と呼ばれます。

くもわの法則

しかし、くもわの法則については、賛否両論あります。スムーズに問題が解けるようになるという効能がある反面、それに頼っていると本質的な理解が伴わないという副作用もあるからです。

基本的には、安易なテクニックに頼るのではなく、式の意味をきちんと理解して使えるようになるべきだと思います。この段階で式の意味が理解できていないようでは、学年が進んでもっと高度な概念が登場してくると、いずれつまずいてしまいます。

しかし、小学生は、同じ学年の生徒同士でも、発達段階の差が大きいことがあります。割合などの抽象的な概念がどうしても理解できない生徒に対しては、とりあえずくもわの法則を使って機械的にでも問題を解けるようにしておき、意味の理解については、学習をすすめながら追いつくようにするということもあります。

ただし、算数・数学が分からなくなり、苦手科目となる萌芽が、そのような基本的な事項の理解不足にあることは十分認識しておく必要があるかと思います。

【トレーニング受験理論とは】
一流アスリートには常に優秀なトレーナーが寄り添います。近年はトレーニング理論が発達し、プロアスリートやオリンピック・メダリストはプロトレーナーから的確な指導を受けるのが常識。理論的背景のない我流のトレーニングでは、厳しい競技の世界で勝ち抜けないからです。自学自習が勉強時間の大半を占める受験も同様です。自学自習のやり方で学力に大きな差が出るのに、ほとんどが生徒自身に任されて我流で行われているのが実情です。トレーナーのように受験生の“伴走者”となり、適切な助言を与えながら、自学自習の力=独学力を高めていく学習法です。

圓岡太治(まるおか・たいじ)
三井能力開発研究所代表取締役。鹿児島県生まれ。小学5年の夏休みに塾に入り、周囲に流される形で中学受験。「今が一番脳が発達する時期だから、今のうちに勉強しておけよ!」という先生の言葉に踊らされ、毎晩夜中の2時、3時まで猛勉強。視力が1.5から0.8に急低下するのに反比例して成績は上昇。私立中高一貫校のラ・サール学園に入学、東京大学理科I類に現役合格。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学在学中にアルバイト先の塾長が、成績不振の生徒たちの成績を驚異的に伸ばし、医学部や東大などの難関校に合格させるのを目の当たりにし、将来教育事業を行うことを志す。大学院修了後、シンクタンク勤務を経て独立。個別指導塾を設立し、小中高生の学習指導を開始。落ちこぼれから難関校受験生まで、指導歴20年以上。「どこよりも結果を出す」をモットーに、成績不振の生徒の成績を短期間で上げることに情熱を燃やし、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて難関大学に現役合格した実話「ビリギャル」並みの成果を連発。小中高生を勉強の苦しみから解放すべく、従来にない切り口での学習法教授に奮闘中。

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圓岡太治
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