『おとなの週末Web』は、手料理の魅力も紹介しています。中でもお酒好きなら、お供になる肴にもこだわりたいところ。自宅で作った様々な料理で「おとなの週末」を楽しんでいる年金生活の元男性編集者が、二十四節気に合わせ、自慢の酒肴を紹介します。前回の「穀雨」編「うまい酒肴を『ドカンと食べたい』…物価高騰、年金生活の60代男性が編み出した『身の丈を楽しむ』意外な秘策」」に続く「立夏」編をお楽しみください。
野外で焼いたさざえのつぼ焼きを、炊いたご飯で蒸らすだけ
古くからの生活暦・二十四節気では、5月5日からの2週間ほどが「立夏」となります。文字どおり、「夏が立つ」季節です。折しも、ゴールデンウイーク。さわやかな風と太陽の下、河原でのバーベキューを楽しみたい頃。
初夏の頃の焼き物といえば、さざえのつぼ焼きです。漁港の近くの魚屋さんなどには、店先に七輪と網が置いてあるろころもありますよね。店で買ったさざえなどをその場で「浜焼き」にするのですが、磯の香りとしょうゆの焦げた匂いがたまりません。しかもアツアツ、歯ごたえも豪快なさざえの味わいは、まさに焼き物のホームラン王(死語?)です。
もちろん、ビールが進むことは間違いありません。最高の酒肴のひとつです。ただし、家でさざえをつぼ焼きにしても、海辺で食べる「浜焼き」の味にはとても及びません。火の上で焼き上がったものを直接ほおばるのとはやはり違うのです。それでも、貪欲ジジイの欲望はとどまりません。
「あの浜焼きの味を、ご飯と一緒に食べたい……」
そうなんです。独特の香ばしい磯の味わいを「ご飯とともに」という野望が芽生えたのです。かくして、「プロジェクトS(さざえの略)」が始まったのは数年前です。スタートは海辺のお土産物屋さんで見つけた「さざえご飯の素」。
その後は、さざえを刻んで味をつけてからご飯を炊いたりもしましたが、う~ん、これも単なる炊き込みご飯でしたね。決定的に香りが弱いのです。
そこで行き着いたのが原点回帰。はい、野外で焼いたさざえのつぼ焼きを刻み、炊き上がったご飯の上で数分蒸らすだけのやり方です。コイツが抜群にうまい! ご飯の中に、つぼ焼きが閉じ込められているような、まさに香りの宝石箱や~(ここは彦摩呂ふう)。