チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」。第64回の今回は、愛知県豊橋市へ。価格と味のコストパフォーマンスに驚いたチャーラーが登場します。
人気ラーメン店主が「脅威」と語った一軒
ラーメンとチャーハン。略して“チャーラー”。町中華やラーメン店でおなじみのこの黄金コンビを愛する私にとって、近頃は少々辛い時代になった。 ラーメン一杯800〜900円が当たり前になり、そこへ半チャーハンを付ければ1200〜1300円。店によっては1500円近くになることも珍しくない。
かつて、安くてお腹いっぱいになるのが魅力だった町中華も、原材料費や人件費などの高騰で軒並み値上げを余儀なくされている。
事情は十分理解している。値上げしても利益が大きく増えるわけではなく、多くの店が客離れのリスクを覚悟したうえで価格を改定している。それでも、チャーラーはもっと気軽な食べ物ではなかったかと思わずにはいられない。ふらっと立ち寄り、お腹いっぱいになって店を出る。そんな日常の幸せこそ、チャーラーの魅力だったはずだ。
そんなことを考えていた矢先、懇意にしている人気ラーメン店の店主から興味深い話を聞いた。
「物語コーポレーションが豊橋にオープンした『丸福飯店』へ行ってきましたよ。あれは正直、脅威ですね」
普段から同業の店をむやみに褒める人ではない。その店主が「脅威」とまで言うのだから気にならないわけがない。数日後、私は愛知県豊橋市にある『町中華 丸福飯店』へ向かった。
開店時間の10時半ちょうどに店へ着いた。この日はあいにくの雨。しばらく車の中から様子を眺めていると、11時を過ぎたあたりから客が次々と店へ吸い込まれていく。気づけば店内は満席になっていた。
暖簾をくぐったのは正午少し前。すでに3組の客が待っていたが、食べ終えた客は長居をせずに席を立つため、10分ほどでカウンター席へ案内された。
メニューを開いて、思わず目を疑った。「丸福中華そば」は490円(税込539円)、そして、お目当ての「ラーメン・半チャーハンセット」は790円(税込869円)。チャーラーが1200円を超える時代に、この価格は衝撃的だ。迷わずセットを注文した。
店内に入ってすぐ目に飛び込んできたのはガラス張りの製麺室だった。自家製麺ならスープに合わせて麺を自在に設計できるだけでなく、コストも抑えられる。ワンコインのラーメンを実現するためにあらゆる手段を講じているのだ。

