東西「海老フライ」対決(コラム:マッキー牧元×門上武司の往復書簡)

おとなの週末で人気連載の呼び声高い、東西うまいもの対決風コラム『[東]マッキー牧元 ×[西]門上武司の往復書簡』。この季節は、ちょいと目出たいものが食べたくなるもの。そこで今回の往復書簡はハレの気分満載の「海老フライ」で、いざ勝負。どことなく和テイストな〈東〉と、フレンチ出身のザ・洋食な〈西〉をご覧あれ。

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【今回のお題】海老フライ

海老フライ 対決 東/新ばし 久 vs. 西/洋食 おがた

【東】マッキー牧元 新ばし 久の「車海老のフライ」

門上様、海老フライはお好きですか? 実は私、子供の頃より大好物でありました。
親に連れられて洋食屋に行くと、海老フライばかりを頼む、生意気なガキでして、ほのかな海老の甘さとタルタルソース、衣の香ばしさが交わった味わいこそ、ご飯が進むと信じて生きてきました。
また成長につれ、世の中には有頭海老フライという、さらに贅沢な海老フライがあることを知り、夢中となりましたが、長年悩みがありました.頭をどう食べるかと言う問題です。
固い殻を一枚とって食べるという手もありますが、それでもその殻が残ってもったいない。この悩みを解消してくれたのが『新ばし 久』なのです。
天ぷら屋のように、先に揚げてもらった頭の香ばしさを味わいながら、胴体への期待を高めていく。きめ細かい衣をまとった胴体は、中心の一点がまだ生となった見事な火の通しで、海老の色気を伝えてくれます。海老は車海老で、その愛くるしい甘さが、幸せを呼ぶのですね。
天ぷらに比べると二級に見られがちなフライですが、この店に来ると同等以上の料理だと思う。そんなことも教えてくれる海老フライなのです。

見事な火の通り具合に 思わずうっとり。
海老の色香にほだされる 幸せのフライ

車海老のフライ 1000円

新ばし 久
東京都港区新橋2-15-13
[TEL]03-3500-5772
[営]火~土 17時~20時半、20時半~23時半
日・祝 16時~19時、19時~22時
※完全2部制、LO・最終入店は入れ替えもしくは閉店時間の2時間前
[休]月 カウンター10席 カード可/要予約/サなし
*先付け1500円、おきまりのコース5500円、アラカルトあり すべて内税
[交]JRほか新橋駅烏森口から徒歩2分

【西】門上武司 洋食 おがたの「海老フライ」

今回、海老フライで頭に浮かんだのは、以前、フレンチレストランのシェフが衣にパセリや粉チーズを加えたものでした。衣に味をつけるのは大阪の串かつと同じだと思ったのです。そこで、フレンチ出身のシェフの作った海老フライが思い浮かびました。
「これからの季節は足赤海老です。これが最高です」と興奮しながら話すのは、京都に昨秋独立したばかりの『洋食おがた』緒方裕之シェフ。なんと供されたお皿には、3尾の足赤海老のフライが、すっと並んでいました。牧元さん、素敵でしょう?
1本目はなにもつけずに頭から。味噌の味わいがぐっと舌を押し付け、甘いのです。2本目はレモンを搾ると、海老のコクと甘みが増してきます。そして3本目は、タルタルソースです。
オーダーが入ってから作るというそれは、卵、自家製マヨネーズ、ピクルスでできています。緒方シェフ曰く、「作り置きは卵の白身が硬くなりますから」。ふんわりとした食感とほどよい酸味で、足赤海老にさらなる味わいをプラスしてくれるのです。
フレンチのシェフが作るタルタルに、僕は大きく頷いたのでした。海老フライというメニューで3種の味わい。3尾付けだから可能となる愉しみです。

フレンチの技が光る タルタルに、心わし掴み。
1尾2尾3尾と愉しみが 増幅する、至福の味

海老フライ 2580円(税別)
※夜のみのメニュー

洋食 おがた
京都市中京区柳馬場押小路上ル 等持寺町32-1
[TEL]075-223-2230
[営]11時半~14時半(13時半LO)、17時半~22時(21時LO)
[休]火、月1回不定休あり
カウンター11席、テーブル席12席/計23席
カード可/予約可/サなし
[交]地下鉄東西線 京都市役所前から徒歩4分、烏丸御池から徒歩5分

プロフィール

【西】
門上武司/小誌でもおなじみの、あらゆる食情報に精通している西のグルメ王。食関連の執筆・編集を中心に、各メディアに露出多数。関西の食雑誌『あまから手帖』の編集顧問も務める。

【東】
マッキー牧元/タベアルキストを自称して早30年、ひたすら美味しいものを食べ歩き、それを生業とすべく、各誌への寄稿に励むコラムニスト。東の食雑誌『味の手帖』編集主幹でもある。

2016年1月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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