食品加工機器参入の理由 「にぎりっこ」がヒット
オーディオテクニカの食品加工機器分野への進出は意外にも古く、1980年前半に遡ります。
1962年の創業からレコードプレイヤー関連商品がメインだった同社は、レコードのカートリッジ(レコード針の振動を電気信号に変える役割)の製造、販売から事業をスタートし、前述のマイクやヘッドホンなどオーディオ関連機器にも参入していきます。
その後、1970年代後半からオーディオデジタル化の波が本格化。1982年のCD登場により、音楽媒体はレコードからCDへ移行すると考え、危機感が高まって音楽以外の新規事業に乗り出したといいます。
ちなみにオーディオテクニカでは米飯加工機器以外にも、産業用クリーニング機器や半導体レーザー分野にも進出しており、業界内では高い評価を得ています。
社内でアイデアを公募したところ、流しソーメン機や温泉卵製造機などと並んで商品化されたのが、1984年に登場したシャリ玉製造機の「にぎりっこ」です。
「にぎりっこ」はハンドル回すとにぎられたすし飯 が落ちてくるという作りで、家庭用のすしメーカーとしておもちゃ店などで販売されました。「外国人タレントのケント・デリカット氏が登場するテレビCMも話題となり、すごく売れました」(斎藤さん)。
今でこそ珍しくないクッキングトイですが、この当時は非常に画期的な商品だったといえるでしょう。