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ストレスと付き合っていくために見出した「油絵」の世界

寝て嫌なことが忘れられる訳でもない。

滓を溜め込んでは吐き出し、幸せと思えない日々を踠いている中、それでも、楽しい毎日を過ごせるように、苛立ちや妬み嫉みを如何にかして消化できないか模索していたのだけれど、最近はその手段として、趣味に手を出すようにしている。

趣味は良い。
それを考えている間は、現実のことを忘れられるし、趣味に割いている時間によって、悶々タイムが物理的に短くなる。

だから、現実を忘れることのできる趣味がいい。

そこで私は、油絵を描くことに着手した。

諸兄姉は油絵をご存知だろうか。学校の授業でもお馴染みの水彩画等と違って、絵の具を油で溶いて、キャンバスに描いていく。

その大きな特徴は、油で描くが故に、乾くまで時間がかかる点にある。乾くまで時間がかかるということは、つまり、間違えてしまったら何度でも描き直しがきくのだ。

失敗を無かったことにできるって、革命ではないだろうか

ただでさえ上手くいかない現実において、何度もやり直せる、リセットができる、という気楽さと快感を油絵は与えてくれる。

加えて、油絵は、他の絵に比べて、さらにその上から絵の具をどんどん塗り重ねることができる。

最初は、太陽を描いていても、途中からリンゴに描き替えることだっていいし、なんなら自分が気に食わなければ、背景と同じ絵の具で塗りつぶすことだってできる。

現実の仕事も、こんな風にできたらなあ。

「今のツッコミなし!!」と言って消せる訳ないけれど、それが許されるのが油絵。

絵の具を混ぜたり、キャンバスに色をのせている時は、完成させたい絵のことを考えていて、その瞬間は、一切仕事のことなんて頭から微塵もなくなるし、描いている間は精神衛生も良い。

ストレスの解消というより、長い時間ストレスの原因から目を逸らす行為でしかないけれど、それでも、これからの長い人生、まじまじとストレスの原因と目を合わせて対峙するだけではなく、逃げ道としてたくさんの道を用意しておくのも大人であると言って良いだろう。

前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で披露した絵の実力も話題になるなどマルチな活動で注目を浴びている。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディベースボールTV』は登録者数25万人超え。

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