メインでもおかしくはないサブメニュー
一方、サイドメニューに目をやると、麺類は「昔ながらの中華そば」(並盛550円・小盛450円)と「こだわりの鶏塩そば」(並盛700円・小盛550円)の2種類。たしか、オープン当初は「昔ながらの中華そば」のみだった。
「こだわりの鶏塩そば」は後発だけに、チャーハンとの相性を研究して作られているかもしれない。そこで、「こだわりの鶏塩そば」(小盛)と、「金の豚チャーハン」(並盛)を注文することに。
まず、運ばれたのは「こだわりの鶏塩そば」(小)。具材は、鶏ムネ肉のチャーシューとナルト、メンマ、海苔、ネギ、カイワレ。まずは、スープをひと口。おっ、和風ダシも入っているのか、深いコクがある。鶏の水炊き鍋の〆に食べるラーメンっぽい。
麺は、中太のストレート麺。弾力があって、麺に染み込んだスープがこれまた旨い。そこらの鶏塩ラーメンよりも確実に旨い。サイドメニューにするにはもったいないほど完成度が高い。いや、マジで。
おっと、ふた口ほど食べたときに「金の豚チャーハン」(並盛)が運ばれた。口の中にはまだ鶏塩そばの味が残っている。すかさずチャーハンにレンゲを突っ込んで頬張った。うっ、旨ぇ……。何なんだ、この一体感は!? 口の中で鶏の旨みと豚の旨みが複雑に絡み合って、ひとつにまとまっている。もう、たまらんっ!
そもそも、「金の豚チャーハン」が旨すぎるのだ。初めて食べたとき、あまりの旨さに悶絶したほど。口の中いっぱいに広がる香ばしさと複雑な味わい。そして、食感。しっとりとパラパラのちょうど中間、“しとパラ系”とも呼ぶべきか。
本店の一宮妙興寺店に行ったときは、カウンター席から厨房が見えるので、チャーハンを作るところをチェックしたことがあった。塩やコショウ、タレなどチャーハンに用いる調味料が1食分ずつ小さな計量カップに入れられていた。つまり、決められたレシピ通りに作っているのである。
ところが、中華料理店やラーメン店の多くはチャーハンを作る際、調味料は目分量。同じ店でも訪れた日によって味が違うことがあるのはそのためだ。ちなみに私はカメラマンでもあるが、カメラの絞りやシャッタースピードが目分量ではとても撮影することができない。遊びで撮影するならともかく、仕事では必ず露出計を使う。それと同じことだ。
チャーハンが美味しい中華料理店は何を食べても美味しい。といわれる。それは目分量ではなく、決められたレシピ通りに作っているからだろう。チャーハン専門店が人気を集めていることに中華料理店はもっと危機感を持った方がよいと思う。
取材・撮影/永谷正樹