国中が明るいお祝いムードにあふれた新天皇の即位
2019年春、生前退位の儀式は粛々と行われ、平成から令和へと御代が移った。国民が自らの判断でお祝いごとを控え、慎んで暮らした中で迎えた平成の天皇の即位と違い、国中が明るいお祝いムードに包まれた。
新しい天皇陛下の御一家が皇居にお住まいを移し、入れ替わりに上皇さまと美智子さまは港区の高輪皇族邸に移られた。そうしてこのたび、懐かしい赤坂御用地の仙洞御所に戻ってこられたのだ。即位されてから、実に34年もの月日が経っていた。
陛下と美智子さまは、「人生の実りある晩年」を実現するにあたり、理解を求める努力を積み重ねてこられた。しかし、それは皇室ならではのことだろうか。私たちにとっても、物事を整えていくには時間と労力を必要とすることに変わりはない。自分も周りも困らないためにも、早いうちから終い方を考え、取り組むこと。「そのとき」になってからでは遅いのだ。次の世代につなぐ穏やかな週末を迎えるためには、むしろ行動は必要なことだろう。お二人の歩みは、私たちに多くの気づきを与えてくれる。
陛下と美智子さまの長い歩みを国民は見守っています。少しでも長く、お二人にとって安らかな日々が続きますよう心よりお祈りしています。
●書き手
高木香織
出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に、『愛のダイアナ』(講談社)、『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』カレンダー『永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『ちょっとケニアに行ってくる アフリカに無国籍レストランをつくった男』(彩流社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。
●書籍紹介用
渡邉 みどり
皇室ジャーナリスト、文化学園大学客員教授。早稲田大学卒業後、日本テレビ放送網に入社し報道情報系番組を担当する。1989年の昭和天皇崩御報道の総責任者を務める。ドキュメント番組『がんばれ太・平・洋 新しい旅立ち! 三つ子15年の成長記録』で日本民間放送連盟賞テレビ社会部門最優秀賞受賞。『愛新覚羅浩の生涯』(読売新聞社)で第15回日本文芸大賞特別賞受賞。『美智子さま マナーとお言葉の流儀』(こう書房)、『心にとどめておきたい 美智子さまの生き方38』(朝日文庫)、『美智子さま あの日あのとき』、三部作 美智子さまから雅子さまへ『Ⅰ雅子妃誕生 』『Ⅱ雅子さまに愛子さま誕生』『Ⅲ雅子さま ご成婚十年の苦悩』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へ―』(講談社ビーシー/講談社)など著書多数。