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なぜ起きた?“熊本県産あさり”産地偽装の背景に「国産信仰」「漁獲量激減」

あさりを使った伝統食としてポピュラーな存在の「深川めし」。産地偽装問題など課題も多いが、日本の味として変わらず受け継ぎたい食材のひとつだ(Photo/nutria3000-Stock.Adobe.com)

2022年2月、熊本県産あさりの産地偽造が発覚、世間を揺るがせました。国内で流通されている“熊本県産”あさりに90%以上もの外国産が混入されて販売されていたことが、農水省の調査によって明らかにされたのです。

なぜ、このように輸入された外国産を「国産」と偽ってまで、販売したのでしょうか。

背景にあるのは、近年、消費者の多くの間で食の安全に対する意識が高まり、根強い“国産信仰”のもと、あさりに限らず厳しい目を向けているからです。国産と表示されていない食品は、購買に結びつかない可能性が高いのです。

一方で、農水省の統計によると、熊本県産あさりの漁獲量は、1977年に全国シェアの40%を誇る約6万6千トンのピークを迎えたのち減少。2020年にはわずか21トンにとどまっています。

国内随一の漁場であった熊本ですが、漁獲量の激減でいまや「熊本産」ブランドの存亡がかかっており、漁業関係者が危機感をもってやむなく偽装に走ったことは、想像に難くありません。

漁獲量が減少している要因として考えられるのが、埋め立てや干拓を含む海岸工事などによるあさりの生育地の消失、赤潮の発生などによる生息環境の悪化によるものです。

このような現場で、生産者たちは日々、日本の食を守ろうと奮闘している実態に、消費者も他人事と思わず、しっかりと目を向け、考える必要がありそうです。

物価の高騰で食品への関心が一段と高まるいま、「国産ありき」の前に、日本の食糧事情はどうなっているのか思案してはいかがでしょうか。

※現在は当時の状況と異なる場合があります。

文/中島幸恵、漫画/うえやまとち、メイン画像/kazoka303030-Stock.Adobe.com

◆『クッキングパパ』とは?

福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。

週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年4月現在、単行本は161巻。

※「おとなの週末Web」の記事では本稿紹介の漫画、クッキングパパ 「COOK.165 春の海の恵みあさりめし」を一話丸ごと読むことができます。

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中島幸恵
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