「おとなの週末Web」では、食に関するさまざまな話題をお届けしています。「『食』のクイズ」では、三択形式のコラムで読者の知的好奇心に応えます。第17回のテーマは「お味噌」です。 味噌の保存方法の「正解」は? 【問題】お味…
画像ギャラリー「おとなの週末Web」では、食に関するさまざまな話題をお届けしています。「『食』のクイズ」では、三択形式のコラムで読者の知的好奇心に応えます。第17回のテーマは「お味噌」です。
味噌の保存方法の「正解」は?
【問題】
お味噌の保存方法について、正しいのは以下のどれでしょうか
(1)味噌は凍ると食感や風味が落ちるので、冷凍庫で保存してはいけない
(2)酸化やカビの発生を防ぐために、味噌の表面をラップなどで覆って保存すると良い
(3)味噌は呼吸している(発酵している)ので、密閉して保存してはいけない
答えは次のページ!
味噌の風味を保つには…
【答え】
正解は(2)です。
「酸化やカビの発生を防ぐために、味噌の表面をラップなどで覆って保存すると良い」
(1)は「味噌は凍る」と「冷凍庫で保存してはいけない」が×です。
(3)は、「密閉して保存してはいけない」が×です。
味噌の風味を保つ保存方法
1.空気(酸素)に触れないよう、密閉容器に入れ、表面をラップなどで覆う。
2.常温保存は避け、冷蔵庫か冷凍庫で保存する。冷凍庫で保存するのが、もっとも風味が保たれる。
味噌はどのように作られる?
味噌のおもな原料は大豆と麹(こうじ)と塩です。大豆を蒸してつぶし、麹と塩を加えてよく混ぜ合わせ、容器につめて半年から一年ほど寝かして発酵・熟成させて作ります。
麹とは、米、麦、大豆などの穀物に麹菌を付着させたもので、穀物の種類によって「米麹」「麦麹」「豆麹」に分けられます。味噌全体の約80%が、米麹を使って作った「米味噌」だといわれます。米味噌は比較的味にクセがなく、甘みが強いところが好まれているようです。
麹菌とは、カビの一種で、麹を作るのに使われるものを指します。麹菌が作る酵素によって、デンプンやタンパク質といった大きな分子が、糖やアミノ酸などの小さな分子に分解され、甘味やうま味が感じられるようになります。また、この糖を原料に、乳酸菌や酵母などのほかの微生物も働き、酸味や香りのもとになる物質が作られます。
麹菌の種類と、それを使ったおもな生産物は以下のとおりです。
・黄麹菌:味噌、醤油、清酒
・白麹菌:焼酎
・黒麹菌:泡盛
・紅麹菌:紹興酒(しょうこうしゅ)
・カツオブシ菌:かつお節
味噌はおもに黄麹菌を使って作ります。
保存のポイントは2点
味噌の風味を保つためのポイントは次の2点です。
(1)できるだけ低温で保存する
味噌は熟成が進むと、色が茶褐色に変色し、香りや風味が変化します。これを「褐変(かっぺん)」といいます。褐変はさまざまな食品で、さまざまな原因で起こりますが、味噌の場合は、おもに酵素の作用によるものと、化学反応によるもの(メイラード反応)があります。
いずれの場合でも、温度が低い方が褐変の進行は遅くなりますので、味噌を保存する場合は常温よりも冷蔵庫、冷蔵庫よりも冷凍庫での保存がおすすめです。
なお、家庭用冷凍庫の場合、味噌は凍りません。通常、家庭用冷凍庫の温度は、微生物が増殖できなくなるとされる-18℃前後ですが、味噌が凍るのは-30℃といわれています。
(2)出来るだけ空気と接触しないようにする
味噌の表面が空気にさらされたままだと、乾燥がすすみ、味噌の表面が硬くなります。
また、空気中の酸素と反応し、酸化が進みます。酸化も褐変の一種で、味噌の表面が黒っぽく変色しますが、熟成による褐変とは異なり、香りや風味が減少する「劣化」と言えます。
さらに、空気の中にはさまざまな雑菌も含まれており、麹菌とは異なる有害なカビが発生することもあります。
したがって味噌は出来るだけ空気と触れさせないようにすることが重要です。
なお、よく「味噌は呼吸している」といわれ、天然醸造の味噌では、容器にガス抜き用の特殊な穴やバルブが付いている場合があります。これは発酵の過程で二酸化炭素が発生するためです。しかし味噌をときどき使用する段階では、特にこのことが問題になることはなく、それよりも前述した空気との接触による弊害の方が大きいため、味噌は密閉容器で保存するほうがおすすめです。
(参考)
[1] 麹菌とは?日本の食文化を支える麹菌のスゴさと発酵について(万田発酵)
https://www.hakko-biyori.com/foundation-186
[2] 味噌の色(好井久雄、愛知県食品工業試験所)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/67/6/67_6_498/_pdf/-char/ja
[2] 味噌の着色と保存方法について(加賀味噌食品工業協業組合)
https://kagamiso.or.jp/column/445/
出題:三井能力開発研究所代表取締役・圓岡太治
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