保存のポイントは2点
味噌の風味を保つためのポイントは次の2点です。
(1)できるだけ低温で保存する
味噌は熟成が進むと、色が茶褐色に変色し、香りや風味が変化します。これを「褐変(かっぺん)」といいます。褐変はさまざまな食品で、さまざまな原因で起こりますが、味噌の場合は、おもに酵素の作用によるものと、化学反応によるもの(メイラード反応)があります。
いずれの場合でも、温度が低い方が褐変の進行は遅くなりますので、味噌を保存する場合は常温よりも冷蔵庫、冷蔵庫よりも冷凍庫での保存がおすすめです。
なお、家庭用冷凍庫の場合、味噌は凍りません。通常、家庭用冷凍庫の温度は、微生物が増殖できなくなるとされる-18℃前後ですが、味噌が凍るのは-30℃といわれています。
(2)出来るだけ空気と接触しないようにする
味噌の表面が空気にさらされたままだと、乾燥がすすみ、味噌の表面が硬くなります。
また、空気中の酸素と反応し、酸化が進みます。酸化も褐変の一種で、味噌の表面が黒っぽく変色しますが、熟成による褐変とは異なり、香りや風味が減少する「劣化」と言えます。
さらに、空気の中にはさまざまな雑菌も含まれており、麹菌とは異なる有害なカビが発生することもあります。
したがって味噌は出来るだけ空気と触れさせないようにすることが重要です。
なお、よく「味噌は呼吸している」といわれ、天然醸造の味噌では、容器にガス抜き用の特殊な穴やバルブが付いている場合があります。これは発酵の過程で二酸化炭素が発生するためです。しかし味噌をときどき使用する段階では、特にこのことが問題になることはなく、それよりも前述した空気との接触による弊害の方が大きいため、味噌は密閉容器で保存するほうがおすすめです。
(参考)
[1] 麹菌とは?日本の食文化を支える麹菌のスゴさと発酵について(万田発酵)
https://www.hakko-biyori.com/foundation-186
[2] 味噌の色(好井久雄、愛知県食品工業試験所)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/67/6/67_6_498/_pdf/-char/ja
[2] 味噌の着色と保存方法について(加賀味噌食品工業協業組合)
https://kagamiso.or.jp/column/445/
出題:三井能力開発研究所代表取締役・圓岡太治