毒性を比較してみると…
【答え】
答えは、(3)の「ボツリヌス菌」です。
毒性の強さはどのように測定する?
毒性の強さを測る代表的な指標は、「LD50」(半数致死量)というものです。これは、マウスなどの実験動物に投与した場合に、その実験動物の半数が試験期間内に死亡する用量を体重当たりの量(mg/kg)として表したもので、急性毒性の強さを表す代表的指標です。
半数致死量で比較すると、ボツリヌス菌が作り出す毒素(ボツリヌストキシン)は桁違いな数値(小さいほど毒性が強い)を示し、現在知られている自然界の毒素の中で、最強の毒性をもつとされています。
選択肢の毒性を比較すると
(1)のフグの毒素は「テトロドトキシン」という物質で、半数致死量は0.01 mg/kg です。
(2)のテングタケの毒素の一つに「α-アマニチン」があり、半数致死量は 0.3mg/kg です。フグの毒素に対し、毒性は約0.03倍です。
(3)のボツリヌス菌が産生する毒素は「ボツリヌストキシン」です。ボツリヌストキシンは抗原性の違いによりA,B,C,D,E,F,Gの7種類に分けられており、ヒトではA,B,E,F型で中毒を発生することが多いといわれます。ボツリヌストキシンAの半数致死量は 0.0000011mg/kg で、これはフグの毒素に対し何と9100倍もの毒性となります。
以上の毒素と、代表的な人工毒である「ダイオキシン」「サリン」「青酸カリ」との毒性の比較を表に示します。ボツリヌス毒素がいかに強力な毒性をもつかがお分かりになると思います。
なお、半数致死量は、毒の投与方法(皮下注射、静脈注射、腹腔内注射、etc.)などによっても値が異なりますので、上記の数値はあくまで目安とお考えください。
(参考)
[1] 環境用語集:「LD50」(一般財団法人 環境イノベーション情報機構)
https://eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=252
[2] 生物毒(福岡大学 機能生化研究室 講義資料)
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/venoms.htm
[4] 自然毒のリスクプロファイル:フグ毒(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_01.html
[5] 自然毒のリスクプロファイル:テングタケ(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/kinoko_07.html
[6] ボツリヌス毒素とその検査法(大阪健康安全基盤研究所)
http://www.iph.osaka.jp/s005/060/020/020/010/1-1.pdf