弁護士になると決めた大学時代
そんなイレギュラーな成人式を迎えてから、大学では法律の勉強に勤しんだ。
受講していない科目の授業にも出て、テストを受ける訳でもないのに、知識を得るために講義に潜っていた(当時、履修していない講義を受けることを”潜る”と言っていた)。
潜りすぎて、「潜水士」や「地底人」「モグラ」など、中には不名誉なあだ名で呼ばれたこともある。
在学中は、講義を受けるだけではなく、インターンで法律事務所へ行きながら、座学だけでなく、実務を勉強もしていた。
当時は、常に、『判例六法』と『ポケット六法』という、法律の載った本を2冊持ち歩いていた。
銃で撃たれても貫通しないであろう厚さがある本は、法律以外にも補足情報などが各出版社によって異なるので、引くほど重たいけれど、2冊とも、学んで疑問に思ったときに常に手の届くところにあるようにしていた。
学生時代、そんな私の姿を高岸が見たときには、「大学生とは思えない」と他人事のように言っていた。
君も同じ大学生なのだよ、と言おうとしたけれど、彼は彼で大学野球という特殊な畑でキャンパスライフを謳歌していたので、私からして見ても、彼は大学生とは思えなかった。
まあイレギュラーな大学生活を送っていたという点において、お互いが大学生と思えないのは、当然であってお互い様なのだろう。
彼は彼で大学生なのに制服じゃないと構内に居られなかったようだし。
変なの。
その後、法科大学院の入学試験を受けたらいくつかの大学院に学費免除で合格したので、どこかへ就職するのではなくて、これはもう院生になって、ちゃんと弁護士の資格を取りに行こうと決意したものだった。