全国で話題にのぼるご当地グルメ。どちらかというとB級グルメに注目が集まりますよね。安価に気軽に楽しめる多彩な味。それを目的にご当地へ足を延ばす人も多いことでしょう。
京都にも、“それ”もちろんあります。ということで京都市街から電車に乗って約2時間、クルマでも2時間弱の海の京都・宮津へ。目的のメニューは〈宮津カレー焼きそば〉。カレー味、醤油味、ソース味……なんてことを考えつつ、せっかくの宮津旅ですから1泊旅行を計画。
日本古来の製法を守る。
旅の2日目は、お酢の醸造元『飯尾醸造』に伺います。栗田半島の東側、1893(明治26)年創業のお酢の老舗醸造所。
一般的にお酢づくりは古米やクズ米を原料としますが、こちらが使用するのは無農薬の新米のみ。炊き上げたときの香りが当然違うそうで、その素性のよさが完成したお酢にも引き継がれています。看板商品〈純米富士酢〉は酢本来のコク深い味わいが自慢だそう。
「丹後地方は昔から稲作が盛んで初代も米農家でした。余剰分から酒をつくるところが多かったので、被らないようお酢をつくったのが始まりと聞いています。祖父にあたる3代目が無農薬米によるお酢づくりに取り組み、米と伏流水だけが原料の〈純米富士酢〉を完成させています」と現当主、5代目の飯尾彰浩さん。父にあたる4代目は料理に使いやすいお酢や新たな商品を開発する一方、無農薬栽培をお願いしている農家の負担を減らす努力を続けてきたそう。
「時代の流れとともに本来の芳醇な香りが敬遠されるようになっています」。そう話す当代が完成させた〈富士酢プレミアム〉は“味わいはそのままに、香りを抑える”という課題から生まれた商品なのだとか。時代にフィットする、お酢も常に進化が必要ということですね。
また、地元の活性化にも一役買いたいと、宮津に直営のイタリアンレストラン『アチェート』を開店。うま味の濃いお酢を使い、ヘルシーなイタリアンを提供。昨晩訪れた鮨割烹『西入る』のすぐそばで、次の宮津旅の目的にもなりそうです。
それぞれに個性あり。
今日もランチは〈宮津カレー焼きそば〉で決まりです。宮津から車で15分、国道沿いにある『橋立海産センター』へ。丹後地方の海の幸山の幸が並ぶ名産品の販売所ですが、その一角にあるレストラン『瑞松苑』にお目当てのカレー焼きそばが待っています。
オーナーの松井道昭さんは観光業を営む地元育ち。「宮津に来てくれたお客さんが、新鮮な魚介や地元のおいしいものに簡単にアクセスできるようにしたい」という想いからレストラン『瑞松苑』を併設。若い頃は平和軒へよく食べに行っていたそうで、当時のオリジナルの味を知るひとり。そこで料理長の藤原広司さんと試作を重ねカレー焼きそばがメニューに加わりました。
牛肉とチャーシューをタマネギや青ネギと一緒に煮込んだカレーソースは、煮干しと昆布のダシで伸ばし、カレー南蛮や煮干し系ラーメンにも近い深いコクが特長。もちもちの太めの焼きそば麺にカレーソースをかけ熱々で提供されます。トッピングはカレー粉をまぶしたから揚げと白髪ネギ。牛豚鶏に魚介ダシまで加わった濃厚な味わいにカレー風味が加わりスパイシー! スープが残ったら単品のライスを注文して、スープの中へ。