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「野菜」とは何か

なぜこのような混乱が起こるのでしょうか?その大きな理由は、食生活上の分類と、生物学的な分類や農業生産上の分類とが、必ずしも一致しないためです。

食生活においては、野菜は「食事のおかずとして食べるもの」、くだものは「食後のデザートやおやつとして食べるもの」というイメージがあります。これはスイーツ(甘いもの)に近い感覚です。この感覚で言うと、いちごやメロンを「くだもの」と考える人は多いのではないでしょうか。

しかし生物学では、「甘いかどうか」という人間の味覚は、分類の基準にはなりません。生物学の分類の基準は、「樹木かどうか」「果実かどうか」といったことです。また、農業生産上は、「一年で収穫されるかどうか」ということのほうが、「甘いかどうか」よりも重要なことなのです。

野菜というのも、生物学上の分類ではなく、食生活上の分類です。野菜というと、『菜』という漢字から、キャベツやホウレン草などの「葉物」のイメージが強いかもしれませんが、実は葉だけでなく、根や茎など、様々な部位が「野菜」として食されています。そしてその中には、トマトやきゅうりのように、果実もあるのです。

農水省は野菜を、「葉菜類」「茎菜類」「根菜類」「果菜類」の4つに大別しています。

農林水産省の野菜の分類

以上のような理由から、農水省の分類では、いちご、メロン、すいかなど、一般にはくだものと認識されているものが『野菜』とされ、アボカドのように、一般にはくだものとはみなされないものが『果樹』とされています。
しかし、この分類はどちらが正解というものではなく、分類の目的や基準によって変わるものなのです。

(参考)
[3] 野菜の分類を見てみよう!(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/s_edufarm/kyouzai/pdf/sai_s_05.pdf

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圓岡太治
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