隣の人が食べていると無性に気になってしまう。そんな料理の代表例がここで紹介するカツの三大メニュー、今回はカツサンド特集です。時代とともに変化していく“いまが旬のおいしさ”をチェックしてください。 タイプの違う美味揃い! …
画像ギャラリー隣の人が食べていると無性に気になってしまう。そんな料理の代表例がここで紹介するカツの三大メニュー、今回はカツサンド特集です。時代とともに変化していく“いまが旬のおいしさ”をチェックしてください。
タイプの違う美味揃い!
ご飯との相性がいいとんかつは、パンとだって相性抜群!ここではカツサンドを徹底調査。カツにソースにパンに、各店の個性が炸裂です!
材料がシンプルだから真の実力が試される!
作りたてのカツサンドは旨い。コンビニや駅ナカで買う作り置きとは別物と言って差し支えないだろう。そこで、「作りたて」をキーワードにとんかつ専門店以外の多ジャンルから絶品店をご紹介。
そんなカツサンドといえば名店や人気店も多く、すぐに取材先を絞れてサクサク進むと思っていた。ところが、「ソースの味が強い」、「カツとパンがバラバラ」、「パンがパサついてる」、「キャベツが邪魔」など、リサーチは空振りばかり。おいしさのポイントとは?
胃の限界への挑戦を経て得たのは「味と食感の調和」。ここに焦点をあてて絞り込み5軒を決めた。
まずは喫茶店の『銀座ブラジル』。浅草の新仲見世通りのビル2階にあり、開業は1963(昭和38)年(本店は昭和23年銀座で開業、現在は閉店)。浅草の住民が口を揃えて「おいしい」と言うカツサンドは、本店先代が海外であちこち食べ歩き作ったメニューだという。
『銀座ブラジル』元祖ロースカツサンド 1100円 ブレンド珈琲 400円
注文が入ってからラードで揚げるロースカツは2枚……に見えるが、実は1枚をカットし上手に並べている。食パンは4枚切りよりやや厚め、と教えられても信じられなかったが、工程を見て納得。具材を挟み、耳をカットして4つに切る間に写真のようになっているのだ。
少し酸味のあるソース、食感はあるが口あたりを邪魔しないキャベツ、豚肉の脂の旨み、やや甘めの食パンと全方向のバランスがいい。厨房を預かるのは、職人歴30年のベテラン。ひとつ作るのに約10分かかるが、70年以上を経て今もなお、手作りを守っている。
ベーカリーの『セントル ザ・ベーカリー』は、トーストするとサクッとする食パン「プルマン」が圧倒的においしい。マスタードとケチャップをブレンドしたソースの酸味を、甘くミルキーなプルマンの余韻がいい塩梅でサポート。
『セントル ザ・ベーカリー』とんかつサンドイッチ 2200円 冷たい美瑛放牧酪農場 低温殺菌牛乳 660円
ほんのり甘辛く、食べる手が止まらない。系列である『VIRON』のブラッスリーで20年以上のキャリアがある齊藤シェフが「パンの味を邪魔しないけれど合う食材」の視点で選んだ豚肉は旨みのかたまり。
ヒレは揚げて色をつけた後、オーブン→休ませるを繰り返し柔らかさをキープ。トーストの焼き目も均一で、随所にベーカリーの強みが光る。
『銀座ブラジル』 @浅草 1948年から愛される老舗純喫茶の逸品!
ロースカツの熱気で蒸らされた千切りキャベツの“邪魔しない”食感に驚く。ガスでトーストされた食パンは表面カリッ、内側ふっくらでカツと合う。
[住所]東京都台東区浅草1-28-2 2階
[電話]03-3841-1473
[営業時間]9時~15時半LO
[休日]水
[交通]つくばエクスプレス浅草駅A1出口から徒歩3分
『セントル ザ・ベーカリー』 @銀座 圧倒的人気の食パンはロースカツとも相性抜群
かながわブランド認定の「やまゆりポーク」は、赤身の旨みが強く脂はあっさり。やや酸味あるソースとパンの甘さが絶妙であとひく味わい。
[住所]東京都中央区銀座1-2-1 紺屋ビル1階
[電話]03-3567-3106(レストラン直通)
[営業時間]9時~19時(18時LO)
[交通]地下鉄有楽町線銀座一丁目駅3番出口から徒歩1分
見た目もバラエティに富んだ個性派が揃う
吉祥寺・井の頭公園近くにあるサンドイッチ専門店の『TRIVANDRUM(トリヴァンドラム)』。併設の工房でパンからすべて手作りし、ロースカツも注文が入ってから揚げる。
『TRIVANDRUM(トリヴァンドラム)』カツサンド 980円
一番のこだわりはパン粉だ。生食パンをミキサーで細かくした後、オーブンで乾燥させてから再度ミキサーへ。極細パン粉は揚げられ香ばしさをまとうが、食感の邪魔をしない。
国産小麦「ゆめちから」100%、乳製品不使用の食パンのきめ細やかさにもよく合う。パンをプレス機でトーストし、具を挟んだ後に再びプレスするユニークな調理法で、熱々が長続きする。
1927(昭和2)年に中華料理店として創業、昭和43年に洋食店となり54年の『洋食50BAN 八広店』。初代は福岡ソフトバンクホークス取締役会長・王貞治氏の父親で、母方の親族が店名を引き継ぎ、現在は「揚げ物が旨い洋食店」として地元の常連客で賑わう。
『洋食50BAN 八広店』スペシャルカツサンド 1100円
「スペシャルカツサンド」は、5店舗中唯一、ヒレカツとパンのみの直球勝負。分厚いヒレ肉は銘柄豚ではないが、旨みも柔らかさも絶品だ。5分揚げて8分余熱、パンに挟んで数分なじませてから提供という丁寧な調理がなせる味である。
全体をまとめるのは、揚げたヒレカツをドボンと沈める自家製デミグラスソース。完成まで2~3日と手間がかかるからこその洋食屋らしい魅惑的な味わいだ。
洗練されたカツサンドを提供するのは、ハイアット セントリック 銀座 東京の『NAMIKI667』。ロースのブロック肉を真空パックし低温調理するため、赤身は歯がいらないほど柔らかい。
『ハイアット セントリック 銀座 東京 NAMIKI667』知床斜里産 匠の豚-サチク麦王のカツサンド東京都産トキハソース 2420円
脂身は低温調理のおかげか脂っぽさと無縁で、少しさっくりした歯応えに。赤身と食感の差があるのは面白い。5軒中、唯一パンがトーストされてないが、このカツの柔らかさにはピッタリだ。
また、東京都産の旬な食材と調味料にこだわり、ソースは東京都北区の老舗「トキハソース」製品。新鮮な生野菜を使ったソースはフルーティで全体の味を〆る名脇役として活躍している。
個性派揃いだから、一度食べるとこれまでのカツサンドが物足りなくなる可能性が。でも、だからこそ食べる価値ある5軒なのだ。
『TRIVANDRUM(トリヴァンドラム)』 @吉祥寺 自家製パン粉の細やかさが味の一体感の決め手!
下ごしらえに工夫をこらしたロースの身はしっとり、パンに塗られたからしマヨネーズがいいアクセントに。ひと切れでもボリューム満点だ。
[住所]東京都武蔵野市吉祥寺南町1-15-6 1階
[電話]0422-71-1088
[営業時間]9時~18時半
[休日]年末年始
[交通]JR中央線ほか吉祥寺駅公園口(南口)から徒歩4分
『洋食50BAN 八広店』 @八広 ラード100%で揚げたヒレカツは衣の風味も美味
自家製デミグラスソースは、程よい酸味と甘さでカツのおいしさを引き立てる。予熱で火を通すため、ヒレ肉はスッと歯が入るほど柔らかい。
[住所]東京都墨田区八広4-25-8
[電話]03-3617-0428
[営業時間]11時半~14時(13時半LO)、17時~20時半(20時LO)、日17時~20時(19時半LO)※夜はご飯がなくなり次第終了
[休日]月、第2・4日曜日
[交通]京成押上線八広駅北口から徒歩4分
『ハイアット セントリック 銀座 東京 NAMIKI667』 @銀座 24時間低温調理したジューシーなロースカツ
赤身と脂身ともにホロホロ食感。パンと同じ柔らさのロースカツのため、ひと口ですべての具材が渾然一体になるのは、さすがホテルメイドである。
[住所]東京都中央区銀座6-6-7 ハイアット セントリック銀座 東京3階
[電話]03-6837-1300
[営業時間]バー&ラウンジ11時~22時(21時半LO)
[休日]年末年始
[交通]地下鉄銀座線ほか銀座駅B5出口から徒歩3分
撮影/西崎進也(銀座ブラジル、50BAN)、沼沢善将(セントル ザ・ベーカリー、TRIVANDRUM)、小澤晶子(NAMIKI667)、取材/渡邉裕美
※2022年11月号発売時点の情報です。
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