「ミオグロビン」の影響
答えは(1)の「サワラ」です。サワラは「赤身魚」で、サケとキンメダイは「白身魚」です。
赤身魚の身が赤いのは、「ミオグロビン」という成分によるものです。ミオグロビンは「ヘモグロビン」とよく似た色素タンパク質で、ヘモグロビンが血液中にあって酸素を運搬する役割を果たすのに対し、ミオグロビンは筋肉中に存在して、酸素を貯蔵する働きがあります。ミオグロビン含有量が100gあたり10mg付近が境界で、それ以上の魚が「赤身魚」、それ以下の魚が「白身魚」となります。
魚の筋肉は、白っぽい「普通筋」と赤い「血合筋(ちあいすじ)」とに大別されますが、ミオグロビンを多く含むのは「血合筋」のほうです。血合筋は長距離を泳ぐのに適した筋肉で、マグロやカツオなどの回遊魚は血合筋の発達した「赤身魚」です。一方、普通筋は長距離の運動より瞬発的な運動に適しており、運動量の少ないアンコウやヒラメなどは普通筋が多い「白身魚」です。
(1)の「サワラ」は赤身魚に分類されますが、血合筋の割合が比較的小さいため、マグロなどと比べると赤みがそれほど強くありません。
(2)のサケの身は赤っぽいのに、白身魚なのはなぜでしょうか?それは、サケの色の素がミオグロビンではなく、「アスタキサンチン」という成分だからです。アスタキサンチンはエビやカニなどの甲殻類などに含まれる赤色の色素で、サケはオキアミなどの甲殻類を餌としているため身が赤くなります。
(3)のキンメダイは深海魚です。海の中では波長の長い赤い光ほど吸収されやすく、深海にはほとんど届きません。したがって赤は保護色となるため、深海魚には赤い魚が多く存在します。しかしそれは外見の話であって、深海魚は運動量が少ないために白身魚が多いのです。