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カレーうどんもやわやわ麺が伊勢のスタイル

伊勢うどんソフトのおかげで口直しは完璧。しかし、甘いものの後は辛いものが食べたくなるのが人間の性ってもの。伊勢うどんのような甘辛い味ではなく、何かこう……。あっ、そうだ! 伊勢うどんを出す店はカレーうどんもやわやわ麺を使うのだろうか? 加藤さんに聞いてみたところ、

「伊勢うどんとコシのあるうどんの両方を出す店もあるので、その店によります。私がよく行く『起矢食堂』は、たしか伊勢うどんと同じ麺を使っていたはずです」とのこと。

ちなみに筆者が暮らす名古屋のカレーうどんは、濃厚なポタージュ状のツユとコシのある極太麺が特徴。ゆえにやわやわ麺のカレーうどんは想像もできない。東京のいわゆるカレー南蛮のようなツユの方が合うのではないか。

『起矢食堂』外観
『起矢食堂』外観

『起矢食堂』は、その昔日本の各方面から伊勢神宮への参拝道として整備された伊勢街道沿い。周りには住宅も多く、これまで訪れた店とはちょっと雰囲気が違う。観光客よりも地元の人々が気軽にお昼を食べに来るような感じ。実際、加藤さんも食べに行くとおっしゃっていたし。

ちょうどお昼時でもあったので、店内はほぼ満員だったものの、入店してすぐに席が空いて、滑り込むことができた。注文したのはもちろん「肉カレーうどん」(800円)。加藤さんも同じものを頼んだ。

待つこと約10分。おいしそうな香りとともに運ばれてきたのがこれ。写真からはわかりにくいかもしれないが、他の店よりも丼がひと回り大きい。つまり、他店で言う大盛がここの並盛ということになる。すごいボリュームだ。

牛肉がたっぷり入る「肉カレーうどん」
牛肉がたっぷり入る「肉カレーうどん」

「肉カレーうどん」というだけに、肉がたっぷり。ツユに隠れた麺を引っ張り出して、肉と一緒に食らう。あれ? このスパイシーな味わいは名古屋のカレーうどんと酷似している。でも、麺はやわやわ。ミスマッチと思いきや、そうでもない。濃厚なツユが思いきり麺に絡むのである。これは名古屋のカレーうどんとはまったくの別物。伊勢うどんのカレーうどんであると断言できる。

それにしても量が多い。食べても食べても減らない。季節はすっかり秋だというのに全身汗だくになりながらなんとか完食した。

今回、本誌で紹介したものも含めて6杯の伊勢うどんと伊勢うどんソフトを食べ歩いた。すっかり苦手意識はなくなり、今、こうして記事を書きながら、また食べたいと思うほど大好きになった。これもひとえによい店をアテンドしてくださった加藤さんのおかげである。加藤さん、ありがとうございました。読者のみなさまも伊勢神宮の参拝の折には伊勢うどんを食べて、良い年をお迎えください。

撮影・取材/永谷正樹

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永谷正樹
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