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先住民のルーツを求めてシベリアへ

アラスカに移り住んだ星野は、アメリカの同化政策や西洋文化が入ることで、固有の文化や言語から遠ざかり、誇りや自信をともすれば失いがちな先住民の現代の姿に心を痛めます。

例えば、こんなことがあったそうです。廃村で朽ちかけたトーテムポールを見つけた時のこと。動物を神聖なものと考え、人も自然との関わりの中で生かされているという思想を象徴しているように感じました。現地で語り継がれてきた神話に大きな力を感じ、先住民のルーツを辿る旅に出ます。

『アラスカの原野に生きる狩猟民族の古老ピーター・ジョン』

今回の写真展に、その行動を表現した作品がありました。「アラスカの原野に生きる狩猟民族、タナナ族。96歳になった古老ピーター・ジョンに、ワタリガラスの神話について聞く」。この古老に、実際に神話を聞いたそうです。展示写真の大部分がカラーですが、この「ピーター・ジョン」はモノクロ。ほかにもモノクロの人物写真が数点ありました。モノトーンが逆に、その人物が生きてきた“年輪”を際立たせています。だからこそ、こんなにも引き込まれるでしょうか。

『クジラの肋骨が立つ浜 ロシア、チュコト半島に近いイティグラン島』

1996年、星野はテレビの取材同行中に、ロシア・カムチャツカ半島クリル湖で、ヒグマに襲われて急逝します。その直前にロシア・イティグラン島で撮影した「クジラの肋骨が立つ浜」が展示されています。地平のわずかな空間にオレンジの日の光が差し、群青色に染まった空に鱗雲が輝く中、手前にクジラの肋骨がアーチのようにそびえたつ自然が見せる美しい瞬間を切り取った感動的な1枚です。

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没後26年経ってカメラを発見、現像写真を初展示...
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おとなの週末Web編集部
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