岩合光昭(いわごう・みつあき)さん(71)は、NHKBSプレミアムの人気番組『岩合光昭の世界ネコ歩き』の出演でも知られる世界的に著名な動物写真家です。半世紀にも及ぶネコの撮影で一般的にはおなじみですが、もともとは野生動物を追い続けてきました。東京都写真美術館で6月4日から始まった「岩合光昭写真展PANTANAL パンタナール清流がつむぐ動物たちの大湿原」は、世界最大級の熱帯湿地で暮らす野生動物の生態に迫った貴重な記録です。“生命の輝き”がまぶしい写真展です。
世界自然遺産、多種多様な野生動物が生息する世界最大級の“生命の宝庫”
南米大陸中央部の「パンタナール」。この広大な湿原に生息する野生動物が、今回の写真展の被写体です。ジャガーやカピバラ、パラグアイカイマンなど、多種多様な野生動物の“一瞬”を切り取った作品102点が並んでいます。
パンタナールは、ブラジルを中心に、一部はボリビアとパラグアイにも広がっています。その広さは約19万5000平方kmで、日本の本州(約22万8000平方km)に匹敵するほど。雨季と乾季で自然環境が大きく変化し、雨季は総面積の80%以上が水没。約300種の哺乳類、約1000種の鳥類、約480種の爬虫類、約400種の魚類などが生息し、12種類もの生態系があって「世界屈指の生命の宝庫」とも呼ばれているそうです。
「パンタナール」とは、ポルトガル語の「沼地」に由来します。ブラジル内にある「パンタナール保全地域」(18万7817ヘクタール)は、4つの自然保護区からなり、世界自然遺産に登録されています。
この大湿原を、岩合さんは2015年から3年半にわたって5回も訪問し、野生動物の生態に迫りました。東京都写真美術館での個展は、2013年の「岩合光昭写真展 ネコライオン」以来2度目となります。