かつて「偏差値29」から東大理科二類に合格した伝説の東大生がいました。杉山奈津子さんです。その日から十うん年……現在は、小学生から高校生までを指導する学習塾代表として、心理学から導いた勉強法を提唱しています。その杉山さんが、受験生を持つ親に贈る「言ってはいけない言葉」と「子どもの伸ばす言葉」。近著『東大ママの「子どもを伸ばす言葉」事典』から一部を抜粋し、入学試験シーズン真っただなかに集中連載でお届けします。
子どもの心を動かすには、尊敬する人物の名前を例に出す
子どもの心を動かすには、尊敬する人物の名前をあげて、「その人ならきっとこうするよ」と声をかけてあげることが非常に有効です。「自分も同じようになりたい」という気持ちから、嫌なことに対しても、乗り越えてやろうという気力がわいてくるものです。
子どもが野球を習っていて、メジャーリーガーとして活躍したイチロー選手のようになりたいと憧れているとします。その子がご飯のときに、ピーマンやニンジンを嫌がって食べようとしないケースを考えてみましょう。
「好き嫌いせずに、全部食べなきゃダメ!」としかっても、素直に食べようとはしないものです。ここで、「イチローなら、きっとピーマンを食べるよ」というような声かけをしてあげるのです。
彼のように強い身体をつくるためには、バランスよく食事をすることが必要不可欠だと説明すれば、今後は嫌いな食べ物も食べようと頑張るでしょう。
行動や考えのお手本となるロールモデルを把握する
自分にとって行動や考え方のお手本となる人物のことを、「ロールモデル」といいます。「こんな人物になりたい」という憧れは誰もが持っているもの。そんなロールモデルの行動を指針として、具体的に真似することでチャレンジ力をアップさせることができます。
有名な話ですが、ソフトバンクやメジャーリーグで活躍した川﨑宗則選手は、小さい頃からずっとイチローの真似をすることが大好きでした。イチローのビデオをすり切れるほどまで見ていたそうです。その結果、メジャーリーグで活躍するまでになりました。
ロールモデルは、有名人でも歴史上の人物でも、学校の先生のような身近な人間でもかまいません。まず、子どもがどんな人に憧れているのかを把握することです。