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クラプトン、ペイジに比べ、日本での知名度は低かった

今ではロック・ファンの間で名盤とされるこの2枚だが、共に全米アルバム・チャートでは15位が最高位。日本ではごく一部の音楽ファン以外に存在は知られていなかった。クリームですでに全米No.1の座を射止めていたエリック・クラプトン、デビュー作でいきなり全米トップ10入りしたレッド・ツェッペリンのジミー・ペイジと比べるとジェフ・ベックの知名度はここ日本ではまだまだ低かった。

仕事柄、手元に置いているジェフ・ベック関連の書籍を読むと、ジェフ・ベック自身もエリック・クラプトンやジミー・ペイジにあけられた差を気にしていたことが伝わる。彼らの音源がすべて出揃い、客観的に評価ができる今、彼らのアルバムを聴き比べるとやはりベックの初期の2枚は完成度の高さから言えばクリームやレッド・ツェッペリンのアルバムに比べて、まとまりという点で劣るのが分かる。

その荒々しさ、生々しさ故にぼくは『トゥルース』『ベック・オラ』を愛するけれどジェフ・ベックが一般の音楽ファンに知られるようになるには、今少し時間が必要だった。

1975年、ジェフ・ベックは『ブロウ・バイ・ブロウ(Blow By Blow)』を発表した。このアルバムは世界的な大ヒットとなり、今まで彼の名をよく知らなかった世界中の音楽ファンの心を掴む。そして真のギターヒーローの座を射止めたのだった。

ジェフ・ベックの名盤の数々

岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。

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