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有名料理人が提唱する「縁起のいい食べ物」という考え方

「縁起メシ」に関していうと、東京都港区南麻布にある日本料理店・分とく山の総料理長の野﨑洋光さんが提唱する「縁起食」の考え方を参考にしています。

和食の達人との呼び声も高い野崎さんは、『野崎洋光の縁起食』(桜雲社)というご本も出されています。吉事を招くレシピや郷土の縁起食を紹介しています。

私の今回の作中に登場する縁起メシのレパートリーは、野崎さんが考案されたレシピを元に作者・神原が実際に作り、実食した上で物語に溶け込むような記述としています。

作中の登場人物である「小料理 絶」の女将である妙ママの言葉として、

「縁起メシは、吉事到来の願いを込めた食事のこと。その料理を食べることで、これからの未来が良くなるように願いを込めるの。美味しいものを食べると、それだけで気持ちも身体も元気になるでしょう」

と紹介しています。
 
ご存知のように、年越しそばや正月のおせち料理は縁起が良いとされます。

なぜ年越しのそばの縁起が良いかと言うと、そばは切れやすく、今年一年の厄を切る、という意味があるからです。

細くて長いため、健康長寿の願掛けをするには打ってつけ。そばという植物は厳しい気候風土でも育つから、その強さにあやかる、という側面もあります。

しかし、年に一度しかない、特別な日のよそ行きの料理だけが縁起メシではありません。

誰にでも作れる普段着の料理であっても、食べた当人が特別だと思えば、どんなにありふれたものでも、それは縁起メシとなります。

食べることで良い縁起に繋げるから、縁起メシ。
 
洋食屋に置き去りにされた過去を持つ匠海の縁起メシはオムライスですが、「小料理 絶」に集う面々にも、それぞれの縁起メシがあります。

ある登場人物の縁起メシはステーキであり、また別の登場人物の縁起メシはプリンであったりします。

なぜ、その料理が当人にとっての縁起メシとなり得たか。主題のオムライスばかりでなく、登場人物それぞれの縁起メシにまつわるエピソードも作品に欠かせぬ存在です。

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