「おとなの週末Web」では、食に関するさまざまな話題をお届けしています。「『食』の三択コラム」では、食に関する様々な疑問に視線を向け、読者の知的好奇心に応えます。今回のテーマは「腸活」です。 文:三井能力開発研究所・圓岡…
画像ギャラリー「おとなの週末Web」では、食に関するさまざまな話題をお届けしています。「『食』の三択コラム」では、食に関する様々な疑問に視線を向け、読者の知的好奇心に応えます。今回のテーマは「腸活」です。
文:三井能力開発研究所・圓岡太治
「短鎖脂肪酸」のはたらきに注目
腸内環境を整えることでさまざまな健康効果があることが分かり、「腸活」への関心が高まっています。なぜ腸内環境を整えると健康に良いのでしょうか。その大きな理由として、「短鎖脂肪酸」のはたらきが注目されています。
短鎖脂肪酸とは、ビフィズス菌などの腸内細菌がつくりだす物質です。短鎖脂肪酸は、細胞などのエネルギーになるほか、血流にのって全身に広がり、体脂肪の低減、基礎代謝の向上などの肥満防止作用や、免疫機能の増強など、さまざまな効能を発揮します。
ビフィズス菌などの腸内細菌のエサとなるのが水溶性食物繊維です。つぎのうち、100g当たりに含まれる水溶性食物繊維がもっとも多いものはどれでしょうか。
(1)ごぼう
(2)あずき
(3)おから
ビフィズス菌のエサは、オリゴ糖や水溶性食物繊維
100g当たりの水溶性食物繊維がもっとも多いのは、(1)の「ごぼう」です。ごぼうは、100g中に2.7gの水溶性食物繊維を含んでいます。
「あずき」と「おから」は不溶性食物繊維を多く含む食品で、いずれも100g中に約11g含んでいます。
ビフィズス菌がエサとするのは、オリゴ糖や水溶性食物繊維です。
オリゴ糖には消化性と難消化性があります。消化性オリゴ糖は小腸で消化・吸収されてしまいますが、難消化性オリゴ糖は小腸で消化・吸収されずに大腸まで届き、ビフィズス菌などのエサとなります。
食物繊維は人の消化酵素で消化することのできない物質で、大腸まで届きます。食物繊維には多くの種類がありますが、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維とに大別できます。不溶性食物繊維は、おもに便のかさを増して腸のぜん動運動を促し、便通促進効果があります。水溶性食物繊維はおもに腸内細菌のエサとなります。
「美腸活 CAFE & GROCERY L for You AOYAMA」で、期間限定のタンサ活メニュー
短鎖脂肪酸の代表は「酢酸」「酪酸」「プロピオン酸」ですが、いずれも味やにおいが強く、食べ物からたくさん摂取するのは容易ではありません。また、短鎖脂肪酸を食べ物から摂取しても、大部分は小腸で吸収され、大腸まではあまり届きません。したがって短鎖脂肪酸は腸内細菌によって腸内でつくりだしてもらうことが大事です。そのためには、ビフィズス菌入りのヨーグルトなどを食べてビフィズス菌を摂り入れると同時に、そのエサとなる水溶性食物繊維や難消化性オリゴ糖などを摂取すると、より高い効果が見込まれます。
現在、短鎖脂肪酸のはたらきを広め、腸からの健康生活習慣を啓発する「タンサ脂肪酸プロジェクト」を推進しているのが江崎グリコ株式会社です。その活動の一環として、「タンサ活レシピ」を提案しています。2023年4月17日から5月16日まで、東京・南青山のカフェ「美腸活 CAFE & GROCERY L for You AOYAMA」で、期間限定のタンサ活メニューが提供されています。
(参考)
[1] 腸内細菌と健康(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
[2] プレバイオティクスから大腸で産生される短鎖脂肪酸の生理効果(腸内細菌学雑誌)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jim1997/16/1/16_1_35/_pdf
[3] タンサ(短鎖)脂肪酸プロジェクト(江崎グリコ)
https://cp.glico.com/tansa/