東京・渋谷にある「東急プラザ渋谷」6階に「酒場食堂」が2023年4月29日にオープンした。これは、シェアキッチンプロジェクト「もしも食堂」による第6弾の取り組み。前回第5弾の「もしも食堂〜WORLD CURRY FESTA〜」に続いて、音楽界のグルメ番長ことホフディランの小宮山雄飛さんがプロデュース。その気になるお料理を、見て・食べてきました!
酒場? 食堂? 渋谷に『酒場食堂』が出現!
ネオン看板でキラキラとした内装(外観もまた然り)ながら、メニューは煮込みやポテサラといったつまみと、サワーにホッピー、ビールといったお酒を提供する。このマッチングで若者を中心に人気を集めている“ネオ酒場”。
東京都内でもさまざまなエリアでここ数年増え続けているのだが、特に多いのが渋谷だ。その渋谷に新たなネオ酒場が登場した。しかも商業施設「東急プラザ渋谷」の中にできたということで、早速行ってみた。
6階のレストランエリア「シブヤグラン食堂」へやってくると、ひと際大きなのれんと短冊メニューが目に飛び込んできた。のれんには『酒場食堂』と書いてある。
酒場? 食堂? これは単なるネオ酒場ではなさそうと入店。店内もネオン看板と短冊メニューが目を惹いた。
さあ何を頼もうか……酒とつまみで、と言いたいところだったが、昼に訪れたのと取材を控えていたため、いろいろ我慢して、気になる「最強!渋谷ブラックカレースパ」(1100円)を注文した。
洋食屋さんのカレーを思わせるブラックカレーから、スパイシーな香りがして食欲がそそられる。スパに絡めて食べると、ピリ辛でコク深い味わい。スパイスの中に感じる山椒もいい感じだ。
そして、てっぺんにゴロッとしたお肉が鎮座しているのだが、これが甘みもあっていいアクセントになっている。それが何たるかはお店で確認を。
メニューには定食もあれば、つまみもあるし、お酒もたくさんある。飲めなかったのは残念だったが、そのメニューと中の雰囲気から面白い店であることはわかった。
調べるとこちらのお店は、ホフディランの小宮山雄飛さんプロデュースということがわかった。では、どういう経緯でこの店ができあがっていったのか、小宮山さんにお話を伺った。
目指したのは、誰もが楽しめる居酒屋文化の入り口となる店
「酒場が好き。食堂で飲むのが好き。そして、ネオ酒場も好き。ようはお酒を飲むのが好きなんですが(笑)。ネオ酒場って、渋谷に結構あるんです。まあ、東京のみならず大阪にもすごく多い。そういう店のお客さんは若者が中心。
で、僕の好きな酒場。特に下町の酒場は常連さんが多く、一見さんにはちょっとハードルが高い。誰もが利用しやすい酒場ができないだろうかと考えていたところ思い出したのが『食堂』です。昔ながらの町の食堂ってファミレスじゃないけれど、幅広い層が来て思い思いの食事を楽しんでました。
そこで、昼から飲んでよし、もちろんがっつりランチもOK。買い物途中にお茶とスイーツを楽しんでもらってもいいし、夜は友だちや同僚と本気で飲んでもいい。そういう人たちの居酒屋文化の入り口になればいいなと思って『酒場食堂』を考えました」
なるほど。それで短冊メニューには、おつまみやがっつり系でなく、「令和のフルーツパフェ」や「平成のパンナコッタアラモード」というスイーツもあるのか。
「そもそも短冊メニューをたくさん貼ってる店が好きなんですよ。メニューに囲まれて飲みたいくらい。どこにいるんだという異世界感というか。それがたまりません」
これだけ短冊メニューがズラッと貼られているのは、小宮山さんの好みでもあったのかと納得。それ以上に驚いたのは、それをすべて貼ったのが小宮山さんなんだそう。短冊メニューへの飽くなき情熱を感じざるを得ません。
それにしても、メニューのバリエーションが豊富である。このラインナップはどうやって決まったのだろうか。
衝撃の“青いポテサラ”を動画付きで公開!
「基本的には『あったらいいな』というものを集めています。ただ、僕自身酒飲みがいきすぎて特殊になっていまして……。酒場に行ってもお新香だけで飲む、やきとん屋さんに行ってサラダだけで過ごす“とんなし”をやっているくらいなので、スタッフにも意見をもとめて現在の状態に落ち着きました」
先日いただいたブラックカレースパについて感想をお伝えしたところ、裏話を教えていただいた。
「『酒場食堂』をやる前に同じ場所で『もしも食堂〜WORLD CURRY FESTA〜』というお店を約5ヶ月やったのですが、ありがたいことにカレーがなくなることを惜しむ方がいらっしゃったのでカレーは入れようと思って入れました。ただそのまま前のメニューを継続するだけでなく、今回の『酒場食堂』用に作りました」
これは、前のお店に行かれた人も再訪必至である。
そのほか、オススメのメニューを教えていただいた。
まずひとつ目「特選・米沢牛煮込み」(770円)。A5ランク、血統書付きの米沢牛を惜しげなく使っている。
「みなさんに脂の甘みを味わってほしい」と塩煮込みにした自信のひと皿。旨みが染み渡ったスープは完飲必至だ!
続いて「名物バタフライピーポテサラ」(770円)。これはもう百聞は一見にしかず。まずは写真をご覧いただきたい。
この時点ではまだ完成していない。コーンフレークと柴漬けが敷かれていて、その上にサラダがのっている。仕上げはなんとテーブルで行われる。ということで、下記の動画をご覧あれ。
このモンブランのようなものはマッシュポテト。なぜ青いかというと、メニューにあるバタフライピーを使っているから。バタフライピーとは、マメ科つる性の植物。その花の美しさから、ティーをはじめ飲み物に使われることが多い。
そして、レモンやライムの果汁をかけると、クエン酸に反応して色が変化。このポテサラもまさにレモンをかけて色の変化を見せてくれる。
ちょっと酸味のあるマッシュポテトを、サラダ、コーンフレーク、柴漬けと一緒に混ぜて食べると、口内調味でバッチリ、ポテサラになるのだから面白い。そして、おいしい。見事にハマっているのだ。
これらに合わせたいお酒はひと通り揃っている。面白いのは、焼酎も緑茶も濃い目の「渋ハイ」(490円)。また、ワインリストもあるというから、やはり単なる酒場ではない。
さて店内に目をやると、サイン色紙を発見。実はコレ、ほとんどが架空のサインなんだそう。例えば、架空の韓国アイドルグループのメンバーとか、スタッフのお子さんといった具合。そういう遊び心があるのも楽しい。
「コロナで人がいなくなりましたが、ようやく若者や外国人が街に出てきていますよね。でも、まだおとなが帰ってこなくなっているように思います。 おとなが週末に渋谷で、週末なら昼でもいい。『酒場食堂』に飲みに来てほしいです。みんなが集まるところになってほしいな。
外国の方も来てほしい。楽しんでもらえると思いますよ。って、おと週さんを外国の方が読んでくれるかなぁ(笑)。
開店直後の1日目、2日目に来たら、ベビーカーを押したファミリーがいて、奥さんは食事を、旦那さんはお酒を飲む姿を見かけました。広く座れるスペースがあるので、買い物がてら荷物を持ちつつふらっと飲みに来れる。自分が描いたイメージ通りの状況になっていてうれしかったですね」。
メニューの価格を見ても、東急プラザ渋谷という商業施設内なのに比較的安く飲めると思う。今度は本腰入れて飲みに来たい。そして、そのときは複数人で行って、いろんなメニューをつまんで飲みたいものだ。飲み放題もあるし、なかなか使い勝手がいい。みなさんもぜひお試しあれ。
■『酒場食堂』
[住所]東京都渋谷区道玄坂1-2-3 東急プラザ渋谷(渋谷フクラス内)6階
[電話番号]03-6455-1215
[営業時間]11時〜23時
[休み]施設に準ずる
[交通]JR山手線ほか渋谷駅西口連絡通路「渋谷フクラス歩行者デッキ」直結
[HP]https://gatw.jp/p/sakaba/
取材・撮影/編集部えびす