未訪湯の開拓とハシゴ これぞ群馬の醍醐味!
群馬県といえば温泉県。中でも3大温泉に数えられる草津、伊香保、四万は有名だけどほかにも未訪の、しかも日帰り湯も各所に点在。これを最大限楽しむ方法はといえば……そう、温泉のハシゴだ。所変われば風情も泉質だって変わる。地図とにらめっこしながら、どんな順路で行くか、作戦を考えるのだって楽しい。さて、本日はどんな出会いが待ってるか。
関越道を走らせて最初に向かったのは、みなかみ町、谷川連邦の麓にある『仏岩温泉 鈴森の湯』だ。2000万年前の太古の地層から湧き出るという源泉かけ流しの日帰り湯だ。山間の清流・阿能川沿いのロケーション。まずは檜造りの広々とした内湯へ。大きな窓の外は樹々に囲まれ、その緑と陽の光を映し込みながら溢れ出す湯が気持ちいい。軽い硫黄の匂いと肌あたりの柔らかさを感じて、自然と手足が大きく伸びる。
階段を降りた外には露天風呂もある。天井もなく、すっぽりと自然に囲まれたような浴槽に身をまかすと、聞こえてくるのは川のせせらぎや鳥のさえずり。マイナスイオン全開。内湯も露天も、癒され感抜群の湯なのである。湯あがりには、炭火で中までふんわり焼かれた岩魚塩焼きもおすすめだ。
次は下道を中之条町方面に向けて車を走らせ1時間ほど、10軒の温泉宿からなる小さな温泉地、『沢渡温泉』へ向かう。実は縄文時代から湧き出ると言われる隠れた名湯。ここには300円で誰でも利用できる、何ともいい共同浴場があるのだ。浴室に入ると、板張りの壁に堅牢な石造りの湯船がふたつ。
余計なものがなく、でもほっとするような空間。湯はほどよく熱く、ガツンと芯まで効く。透明なんだけど成分濃いなあと感じる。軽い硫黄臭に湯の花も。ちなみにこちら“一浴玉の肌”、つまり入れば玉のように艶々になれるという美肌の湯として親しまれている。地元の人と一緒に入るのも楽しい。いやあ、芯まで温まってリセットされる。
さて、最後はさらに下り、上信越自動車道を経由して下仁田を目指そう。下仁田と言えばネギとこんにゃくと言われそうだが、温泉もあるのだ。そして目的はふたつある。秘湯と旨いメシだ。温泉の名は『八千代温泉 芹の湯』。人里離れた場所に隠れ家のようにある素朴な佇まい。明かり取りの窓からのほのかな光に照らし出された浴室の風情がいい。
身を沈めると、湯はしょっぱくてヌルヌル系。肌にツルツルまとわりつく感じが心地いい。湯あがりの体は軽く、ほかではなかなかお目にかかれない雰囲気だ。そして締め括りには、下仁田ポークと下仁田ネギを使ったすき焼き!群馬の旨いもんに感謝しつつ、本日の湯を噛み締めるのだ。
撮影/鵜澤昭彦、取材/池田一郎
※2023年6月号発売時点の情報です。
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