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【図付き】写経学習が有効なケース

大事なことは、対象によってどのような学習法が効果的かを正しく把握することです。

覚える学習では、写経学習は有効なケースがあります。ただし、覚えるものの内容によって、写経学習の効果の度合いは異なってきます。図1は、各教科で覚えるべき項目について、写経学習がどの程度効果的かを示す、私の主観に基づく概念図です。写経学習が向いているのは、おもに文系科目です。とくに、英単語の暗記や漢字の書き取りなど、丸暗記する必要があるものに効果を発揮します。一方、数学や物理の公式などのように、覚えるだけでなく思考力を必要とするようなものには、あまり向いているとは言えません。

写経学習の有効性

「分かる」と「解ける」は違う

数学でよく起こる錯角は、解説を受けたり解答を読んだりして解き方が『分かる』と、『解ける』ようになったと思ってしまうことです。しかし、解答を教わって、出来ると思って問題に取り組んでみると、途中でつまずくことはしばしばあります。なぜなら、問題の解答には、表面に表れないさまざまな着眼、発想、思考、解答作成の工夫などがありますが、単に解答を理解しただけでは、そのような頭のはたらきは身に付かないからです。

解答を“写経”しただけでは「分かる」の段階でとどまってしまいます。実際に鉛筆を手に取って、自分の頭を働かせて解いてみて、「解ける」状態にするステップが必要です。そのやり方については次回述べたいと思います。

必要なのは学習法の処方箋

今回は効率の悪い数学の学習法として写経学習を取り上げました。科目によっては薬になる学習法も、処方を間違えると毒になることがあります。数学が苦手な多くの生徒にとっての不幸は、処方箋がないまま、闇雲に薬を使っているところにあるのではないでしょうか。その処方箋を示すのが、“トレーニング受験理論”の目標でもあります。

“写経”は労多くして功少なし

圓岡太治(まるおか・たいじ)
三井能力開発研究所代表取締役。鹿児島県生まれ。小学5年の夏休みに塾に入り、周囲に流される形で中学受験。「今が一番脳が発達する時期だから、今のうちに勉強しておけよ!」という先生の言葉に踊らされ、毎晩夜中の2時、3時まで猛勉強。視力が1.5から0.8に急低下するのに反比例して成績は上昇。私立中高一貫校のラ・サール学園に入学、東京大学理科I類に現役合格。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学在学中にアルバイト先の塾長が、成績不振の生徒たちの成績を驚異的に伸ばし、医学部や東大などの難関校に合格させるのを目の当たりにし、将来教育事業を行うことを志す。大学院修了後、シンクタンク勤務を経て独立。個別指導塾を設立し、小中高生の学習指導を開始。落ちこぼれから難関校受験生まで、指導歴20年以上。「どこよりも結果を出す」をモットーに、成績不振の生徒の成績を短期間で上げることに情熱を燃やし、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて難関大学に現役合格した実話「ビリギャル」並みの成果を連発。小中高生を勉強の苦しみから解放すべく、従来にない切り口での学習法教授に奮闘中。

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圓岡太治
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