サバそのものだけを使った「鯖キーマ」
「サバのおいしさを引き出すために、工夫を重ねましたよ、ジェンヌさん!」と笑顔で出迎えてくれた松井さん。『東京Qeema』の鯖キーマは、たんに「肉をサバ」に置き換えたわけではない。あくまで「サバ至上主義」で仕上げてある。
そもそも世の中のサバキーマは「サバ缶」を使っているケースが多い。しかし、『東京Qeema」の鯖キーマはサバそのものだけを使用。
「サバは厳選したものをまるごと仕入れて、さばいて使っています。手間はかかっても絶対にその方がおいしいです」とキッパリ語る松井さん。
そして挽き肉化するサバとして松井さんがチョイスしたのは、宮城県石巻が誇るブランドサバ「金華さば」だ。
なぜ?
「いや、もう金華さばしかないと思いました! なんだかんだいっても、ともかくバツグンにおいしい!」と大絶賛する松井さん。その魅力は「身質と脂のりのバランスがじつに優れていること」だと力をこめて語る。
さらに、「挽き肉目線」で見ても「最強」。
「旨みが強く、歯応えがしっかりあるけれど、ジューシーでしっとり。まさに、挽き肉向きです」と松井さん。「それに金華さばで作った料理は時間が経っても青魚特有のクセが出ることなく、いよいよもっておいしくなるんですよ。すごいです」。
思い入れたっぷりの金華さば。よって、調理のこだわりもハンパない。
金華さばをさばき、骨を取ってからフライパンで、皮目をパリッと香ばしく焼き上げる。完全に火が入ったところで、ひっくり返し、木べらでほぐす。
たんにガーッとほぐすわけではない。鯖キーマに適した「ほぐし方」でほぐすのだ。
「まず、フィレの真ん中に木べらを入れて、ポンと割ります」と松井さん。「続いて、木べらをたててドン、ドン! と大きめに6分割します。『ポンのドンドン!』です」
この後、サバを煮込んだり、料理を提供する際に再度温めなおすという過程において、さらに身がほぐれることを計算し尽くして、敢えて程よい大きさにする、という松井さんならではの「ほぐしの技」である。
ほぐしたサバにはカレー粉、クミン、隠し味に白ダシをかける。炒めた玉ねぎ、ショウガと合わせて水と白ワインでとろみが出るまで煮込む。
サバとの相性を考えて、ストレートな辛みがあり、オキアミが練り込まれたレッドカレーペーストをチョイス。こちらとホールトマト、カイエンペッパーを加えてさらに煮込み、仕上げにクミンをプラスして完成!
サバキーマカレーに合わせるライスは、ご近所にある大正15年創業の厳選米専門店『森田屋米店』から仕入れたもの。農家から直送された精米したてのお米に、カレーとの一体感を考えてタイのジャスミンライスを加え、香りをプラスする。
トッピングもサバ×カレーの味わいを引き立てるものをチョイス。レッドオニオン、セロリ、ナッツ、レモン、ミントをのせる。
野菜ソムリエの資格を持つ、松井さん。もれなくお野菜もたっぷり添える、が東京Qeema流だ。
では、いざ実食!