パイ生地にアーモンドクリームを組み合わせたシンプルな構成のガレット・デ・ロワは、フランスの新年に欠かせない伝統菓子だ。毎年、キリスト教の祝日である1月6日の公現祭に食べられ、生地の中に入った「フェーヴ」(数センチ大の小さな陶器の人形など)を見事引き当てた人は祝福を受け、一年幸運に恵まれると言われる。そんな新年の幕開けにふさわしい菓子の中から2024年に注目の5品をご紹介!
そもそもガレット・デ・ロワとは?
折り込んだパイ生地にアーモンドクリームを組み合わせたガレット・デ・ロワは、和訳で「王様のガレット」を意味する。「ガレット」は菓子を指すが、語尾の「ロワ」は、最初にイエス・キリストを礼拝した「東方三賢人」「東方の三博士」と呼ばれる三人の王を指すものだ。
この菓子を切り分けて食べるのは、東方の三博士がベツレヘムに誕生したキリストを訪問し、キリストが神の子として公に現れたことを記念する「公現祭」であることから、まさにこの日を象徴する伝統菓子であることがわかる。フランスでは1月中、ガレット・デ・ロワを囲み、家族や友人同士で集まる習慣がある。生地を切り分ける際、「フェーヴ」がピースに入っていた人が王様・女王様となり、紙の王冠をかぶる為、ホールのガレット・デ・ロワには、紙の王冠がセットで売られている。
生地の中に入った「フェーヴ」の起源とは?
「フェーヴ」は仏語で「そら豆」を意味するが、もともとガレット・デ・ロワには、本物のそら豆が入っていたそうだ。そら豆は胎児の形をしていることから、古代から生命のシンボルとされてきた。その神聖さから、そら豆を入れた菓子で「運だめし」をする習慣が根づいていたようだが、19世紀にパリの菓子屋がドイツの陶製の人形を入れたことをきっかけに、小さな人形が「フェーヴ」としてガレット・デ・ロワにいれられるようになったと言われている。
現在は陶製の「フェーヴ」も多様になり、スイーツの形をしたものや観光名所の形を表現したものなど、さまざまな種類が楽しめる。
ガレット・デ・ロワならではの切り分け方
フランスではガレット・デ・ロワを食べる際、一番年の若い子どもがテーブルの下に入っている間に、他の人がガレットを切り分けるのが主流となっているそうだ。子どもは見えないまま、切り分けたピースを誰に配るかを指名し、その指示をもとに配られるので、誰に「フェーヴ」が当たるのかは最後までわからない。親戚や家族でガレット・デ・ロワを囲む際は、マネして切り分けてみると、その場が盛り上がるかもしれない。