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家康は加賀征伐を決意

ちなみに家康は利家死後、すぐに加賀征伐を決意します。家督を継いだ利長は交戦を決意しますが、母の「まつ」に諌められ断念します。日本初の教育ママといっていい「まつ」は、おそらく「いま、家康様に楯突いて、どうすんのよ。勝てもしない戦争して、お父様の家来たちを路頭に迷わせていいの?」くらいはきっと言ったのでしょう。

結局、母のとりなしで、利長は矛を収めます。しかし、「今後も謀反は起こさない証に、お前の母を人質に!」という家康の命令に、利長は苦悶します。そんな利長に、母・まつは「利長よ。お前は母を捨てなさい」と言ったと伝えられます。

このひと言が利家、利長、利常と続く加賀百万石の繁栄を築いたといえるかもしれません。

金沢城の橋爪門続櫓・橋爪門 photojapan@Adobe Stock

【金沢城】
もともとは加賀一向一揆の軍事拠点である「尾山御坊」のあったところで、織田信長に攻め落とされた後、佐久間盛政が改修し、築城。慶長7(1602)年に落雷で天守閣が焼失後、再建されず。その後たび重なる火災に見舞われ、再建を繰り返す。金沢城ではその顔といえる石川門、二重二階の多聞櫓を持つ三十間長屋、武具をしまった鶴丸倉庫が重要文化財に指定されている。

■金沢城公園
入園料:無料
開園日:年中無休
菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門の入館料:大人(18歳以上)320円、小人(6~18歳未満)100円
住所:石川県金沢市丸の内1番1号
電話:076ー234ー3800

【兼六園】
特別名勝に指定される兼六園は5代藩主前田綱紀が作庭、整備した廻遊式庭園で、岡山後楽園、水戸偕楽園とともに日本三名園に数えられる。
入園料:大人320円(18歳以上)、小人(6~18歳未満)100円
開園日:年中無休

【前田利家】
まえだ・としいえ。1538~1599年。前田利家は、幼なじみの木下藤吉郎とともに、織田信長に仕える。近習としての日を経て、やがて赤母衣衆(あかほろしゅう)と呼ばれる親衛隊の一員になる。身長180cmを超える大男で、槍の使い手でもあり「槍の又左」と呼ばれた。姉川の合戦で武功を挙げ、信長死後の賤ヶ岳の戦いでは柴田勝家の与力で参陣するも、幼い時からの友人、秀吉を討つ気になれず静観。結果として秀吉の勝利につながった。秀吉亡きあとの豊臣政権では秀頼の後見人として家康の台頭を牽制した

松平定知さん

松平定知 (まつだいら・さだとも)
1944年、東京都生まれ。元NHK理事待遇アナウンサー。ニュース畑を十五年。そのほか「連想ゲーム」や「その時歴史が動いた」、「シリーズ世界遺産100」など。「NHKスペシャル」はキャスターやナレーションで100本以上担当。近年はTBSの「下町ロケット」のナレーションも。現在京都造形芸術大学教授、國學院大学客員教授。歴史に関する著書多数。徳川家康の異父弟である松平定勝が祖となる松平伊予松山藩久松松平家分家旗本の末裔でもある。

※トップ画像は「Webサイト 日本の城写真集」

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