「商売繁盛、幸せを一気にいただく」という縁起担ぎ
農林水産省のホームページによると、「節分」は、立春・立夏・立秋・立冬の前日を指し、“季節の変わる日”を示しています。本来なら季節の節目に4度訪れるものですが、旧暦において、1年の始まりである立春が重んじられてきたことから、春の節分が一般的に定着していったようです。「『商売繁盛、幸せを一気にいただく』という縁起担ぎで、正月に行われていた『恵方参り』が形を変え、節分のしきたりとして復活したもの」だそうです。
「恵方巻」の「恵方」は干支によって変わり、歳神(年神)様のいる方向をその年の吉の方向として定めており、2024年の恵方は「東北東」です。「恵方巻」は、その方向に向かい、願いことを心で唱えながら無言で一気に食べることが習わしとなっています。
「恵方巻」の起源は、諸説あるようですが、ここまで一般的に広がったのは、1970年代に大阪の海苔問屋組合が行ったキャンペーンやコンビニチェーンの宣伝戦略によるものが大きいようです。
全国各地にあって多くの人が利用するコンビニは、古来より大切にされてきた風習や文化を継承し、進化を遂げていく食文化の発信拠点としての役割もあるのではないでしょうか。
文・写真/大島あずさ