海外店舗の第5弾として、カナダに着目
新横浜ラーメン博物館では世界21カ国38都市のラーメンを調査し、2013年より、日本にお店がなく、海外で独自に誕生し、地元で支持を得ているラーメン店を誘致・紹介する企画をスタートしました。
この企画の目的は、海外は日本とは違い、ラーメンを作る環境が整っていない中で、知恵と工夫で日本では生み出せないラーメンが誕生しており、その味や志を紹介するというものです。第5弾として着目したのはカナダ。カナダの中でもトロントの「RYUS NOODLE BAR」が2018年に出店しました。
カナダ初のラーメン店は1989年に進出した「えぞ菊」
カナダのラーメンの特徴は日本やアメリカからの進出が多く、バンクーバーやトロントで成功したお店が地方都市に進出する傾向があります。
また、ラーメン店のスタイルはNYや欧州のレストラン形式とは違い、日本に近いファストフード形式です。現在カナダには150軒前後のラーメン店があり、カナダで最初のラーメン店は1989年に日本からバンクーバーに進出した「えぞ菊」と言われています。
当時は日本のバブル絶頂期で日本人企業の駐在員や旅行者がターゲットでした。カナダのラーメン事情が大きく変わったのが2010年で、日本の「山頭火」がバンクーバーに進出した頃からです。
この頃アメリカでは既にニューヨークやロサンゼルスを中心にラーメンブームが起こり始めていました。
トロントはカナダの経済の中心地、先住民の言葉で「出会いの場所」
カナダの国土はロシアに次いで2番目の大きさで、その面積は日本の26.4倍に相当します。その中でトロントはカナダ(約3699万人)で最も人口が多い都市(周辺を含めた大都市圏で約590万人)です。日本までは約1万km。直行便で約13時間かかります。
カナダ経済の中心であるトロントは、ほかにもメディア、芸術、映画、観光、スポーツなどの産業基盤が発達しています。
観光では「ナイアガラの滝」が世界的に有名な観光地と知られています。
トロントとは先住民のヒューロン族の言葉で「出会いの場所」という意味があり、その名のとおり様々な土地からの移住者によって構成されています。その割合はマイアミに次いで世界第2位となっていて、人種のモザイク(cultural mosaic)とも言われています。しかし犯罪率は低く、英国のエコノミスト誌が発表している「世界で最も住みやすい都市ランキング」では常に上位にランクインしています。