2024年で30年目となるJR東海「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン。今回のテーマは「京都がくれる癒し」。緑が鮮やかなお寺で、清々しい朝や夕暮れで、レトロ建築が醸す空気の中で、京都に癒されに、CMのロケ地を巡るプレスツアーに参加してきた。
画像ギャラリー2024年で30年目となるJR東海「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン。今回のテーマは「京都がくれる癒し」。緑が鮮やかなお寺で、清々しい朝や夕暮れで、レトロ建築が醸す空気の中で、京都に癒されに、CMのロケ地を巡るプレスツアーに参加してきた。
仏と、そして自分と向き合う緑に囲まれた蓮華寺の庭
「た~~らっらら たらら た~らら た~らん♪」
あの曲(名曲「マイ・フェイバリット・シングス(My Favorite Things)」、邦題は「私のお気に入り」)が流れると行きたくなってしまう、マイフェイバリットプレイス(お気に入りの場所)、京都。JR東海によるあのキャンペーンの、この夏のお題は「京都がくれる癒し」。
毎回、「苔」「仏像」「花」など見るべきもののテーマがあったが今回は「癒し」。ん?漠然としてない?世界中からインバウンドの旅行者が殺到する、あのゲキ混みの京都で本当に癒される???そんな猜疑心をもちつつ、女優の安藤サクラさんが旅人となるCMのロケ地を訪ねてみた。
メインのビジュアルとして登場しているのは天台宗・蓮華寺(れんげじ)。ポスターで安藤サクラさんが佇む新緑に囲まれた縁側だ。今回のプレスツアーでは特別な許可を得て、撮影させていただいたが、ポスターのアングルのような庭園からのカットは撮影禁止。柱にも「庭の通路、本堂では撮影禁止」とある。
「お寺は外にある、自然の中にある仏壇」という副住職の言葉が私に響いた。ブッダが修行を重ね、悟りを開いたのは自然の中。同じように心を落ち着けて自然と向き合う場、それが庭だ。
CAP2
「拝見」ではなく「拝観」するもの
お堂の柱を額に見立てて池泉(ちせん)回遊式庭園(池を中心に楽しめるよう作られた庭)を眺めると名画のよう。本堂前に立つ、六角形の急交配の笠をつけた石灯篭は茶人の間では広く知られているのだとか。なるほど、納得。素敵な風景を見ると、ついつい写真を撮ることに熱中してしまうけれど、その風景と向き合い、静かな時を過ごす贅沢もある。
プレスツアーではできるだけ多くの見どころを巡るため、分刻みのスケジュールで、スタンプラリーのようなせわしなさになることが常だけれど、今回は取材後に1時間ぐらいのフリーな時間をとっていただき、無になることができた。寺は「拝見」ではなく「拝観」するもの、つまり目だけではなく心でみるもの。庭園をスマホのレンズではなく、心の眼でみて、癒されよう。
比叡山の玄関口は、隠れ里のような趣
蓮華寺があるのは、比叡山(京都市と滋賀県大津市にまたがる山)の玄関口、叡山電車叡山本線の終点「八瀬比叡山口駅」と「三宅八幡駅」の間(京都市左京区)。目の前にはバス停もある。この八瀬大原(やせおおはら)には緑や紅葉を鏡のように映す瑠璃光院(るりこういん)などの名所もあるが、蓮華寺の周辺は高野川のせせらぎが目にも耳にも優しく、隠れ里のような趣きがあって静か。自然と一体になる豊かさを味わえた。
京都の南部には鞍馬や貴船などの地域にいると、自然豊かな緑に包まれて、とげとげとした気持ちがじわりじわりとほぐれていきそうだ。街から少し離れて癒される寺巡り、いいかも!
通常は入れない三門の上から東福寺を見渡す
臨済宗大本山「東福寺」も京都の名刹だ。夏は青もみじ、秋は真っ赤な紅葉に囲まれた通天橋、庭園が素晴らしい方丈などの見どころも多い。緑のさざ波のような新緑は見事だった。7月には蓮の花が見ごろで、特に次々と咲く早朝の光景は幻想的だそう。
人と違った体験を望むのなら1日5組限定(1組5人以上、少人数の場合は2組同時の案内の場合も)の『東福寺の至宝巡り』に参加してみよう。一般非公開の本堂や禅堂、光明宝殿を東福寺のスタッフが案内してくれる。なかでも三門の階段を上り、上から東福寺を一望できるのには感動! この非公開の拝観に加え、一般公開されている通天橋や方丈の庭園にも行け、お抹茶もついて一人5000円は悪くない。精進料理などの食事のオプションもあるから、ゆったりお寺で過ごせるのだ。
毎月リリースされる新幹線とのコラボお守りが尊い!
今回JR東海が力を入れているというのは、今までのキャンペーンに登場した数々の名刹とコラボしたというオリジナルお守りと拝観券がセットになったプランだ。新幹線とそれぞれのお寺のアイコンがデザインされたオモテ、そのお寺が大事にしているお言葉が記されたウラ、そして「そうだ京都、行こう。30TH」と刻まれたチャーム(小飾り)がついた、ここでしか拝受できないお守りの数々!毎月リリースされるので、桜や紫陽花など、その季節にあわせたデザインなのも粋だ。
新幹線のデザインも、あえて現行の「N700S」ではなく、「300系」を描いた常寂光寺(じょうじゃっこうじ)など、「鉄男」「鉄子」にたまらない裏エピソードも満載だ。尊い!
ちなみに今回の旅で、私は“御朱印デビュー”した。神社仏閣好き、地方出張多し、スタンプラリー大好きな自分としては、この沼にハマったら抜けだせない…!と自覚しているので、御朱印集めは自分の中で封印していたのだ。それこそ拝観よりも、スタンプ(=御朱印)を集めることに躍起になりかねない。ところが京都駅の書店でこんな御朱印帳(+小冊子)を発見。そうだ、京都だけなら自制できるはず…! と思い、京都限定で、ムキにならない程度に御朱印を集めることにした。
この「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンではさまざまな特別拝観などの旅行商品があり、それらに参加した特典として、拝観整理券と御朱印授与券がもらえたりする。自分のペースで巡ってみるのもいいかも。せっかくだから緑に囲まれた圓光寺や詩仙堂、そして貴船神社にも癒されてこようかな。
盛夏には木陰が心地よい避暑となる。紅葉狩りならぬ青もみじ狩りへ、京都市内の各所を巡り、涼を探してみるのもいい。
「そうだ 京都、行こう。」!
文・写真/間庭典子
まにわ・のりこ。東京都杉並区出身。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)退社後、米ニューヨークを拠点に活動。帰国後はフリーライターとして情報を発信。全国各地の宿、インテリア誌では200軒以上の住宅を取材するなど、旅芸人なみのフットワークを誇る。仕事柄、ラグジュアリー系リゾート体験も豊富だが、「青春18きっぷ」を使って旅する“18きっぱー”でもあり、JRのほぼ全路線制覇。地の酒、肴を味わえる居酒屋や市場めし、ひなびた湯治場を巡るのも大好き。