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約6割の水素ステーションが首都圏と中京圏に集中

高輪ゲートウェイ駅のすぐ近くに水素ステーションがある

しかし燃料電池車には、解決すべき課題が2つある。1つ目は水素を充填する水素ステーションが乏しいことだ。以前に比べると増加したが、全国に152箇所(2024年4月現在)だから、給油所の約2万8000箇所(2023年現在)に比べると大幅に少ない。

しかも水素ステーションは、首都圏と中京圏にそれぞれ30%が集まり、この2つの地域を合計すれば全体の約60%に達する。水素ステーションの整備状況を見ると地域格差が大きく、利用できるユーザーは限られてしまう。給油所に比べて、営業時間の短い水素ステーションもある。

従って仮に自宅や勤務先の近辺に水素ステーションがあっても、遠方まで外出して水素充填の必要が生じると、電気自動車以上に不便を強いられる。現実的には、水素充填をしないで戻れる範囲内の移動に限られる。

ガソリン同様値上げする水素でコスト増大

トヨタは、「ENEOS スーパー耐久シリーズ 2024 Empowered by BRIDGESTONE 第2戦 NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース」に、液体水素を燃料として搭載した「#32 ORC ROOKIE GR Corolla H2 Concept」(以下、液体水素エンジンGRカローラ)で参戦した

水素価格も重要だ。ガソリンと同様、燃料電池車に充填する水素も値上げされ、2024年6月上旬では、1kg当たり1600~2000円に達する。そうなるとクラウンセダンFCEV・Zの場合、水素価格が1kg当たり1600円としても、1kmを走るためのコストは10.8円だ。

一方、同じクラウンセダンに2.5Lエンジンを使ったハイブリッドを搭載するZでは、レギュラーガソリン価格が1L当たり170円の高値で計算しても、1kmの走行コストは9.4円に収まる。直近の水素価格を見る限り、燃料電池車は走行コストでも不利になる。

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水素で走るクラウンセダンなら補助金が約136万円交付される...
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この記事のライター

渡辺陽一郎
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