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『オーベルジーヌ』 実は倒産の危機だった!?

盾が贈呈された

『オーベルジーヌ』は1987(昭和62)年、東京・四谷にカレーのレストランとしてオープン。「ロケ弁はここのカレーが好き」と公言する芸能人は多く、まさに、ロケ弁の中のロケ弁と言ってもいいだろう。

当時、近くには、フジテレビや日本テレビ、文化放送などの社屋(現在はいずれも移転)があり、ある時にテイクアウトの要望があったことから、宅配を始めたという。1992(平成4)年頃のことだ。先代店主がフジテレビ内でチラシを配ったところ、多くの注文が舞い込んだことが、ロケ弁として認知されるきっかけになったらしい。

ただ、ロケ弁としての認知度は年々高まっても、お店としての経営は必ずしも順調でなかったという。3代目の高橋祐介さん(※「高」は、はしごだか)によると、跡を継いだおよそ20年前は、倒産寸前の状態だったらしい。

状況を好転させるために、まず始めたのは、この看板商品の見直しだった。さらに、いいものにしようと、原材料のグレードを上げたり、スパイスなどのレシピを変えたり。

カレーソースの大幅にアップデートするとともに、それまでは新宿区や渋谷区など4区のみで配達を行っていたが、代理店を入れることで、一都三県へとエリアを一気に広げた。

もともと、テレビなどでの露出が高かったこともあり、次第に経営も上向き、当時の売上に比べ12倍も伸ばすことができた。

現在、四谷の店舗は基本的に宅配とテイクアウトのみ。2024年4月には、東京駅構内の商業施設「グランスタ東京」にテイクアウト専門店をオープンし、さらに手が届きやすいロケ弁に。当初、出店は考えていなかったそうだが、高橋さんは「東京駅は出店場所として最高峰。そこで売れれば、弁当屋としてはある意味成功したと言えるかなと思った」と、意図を説明する。

「冷めても美味しい」が最大の魅力

このビーフカレーの特徴は、なんといっても、冷めていても美味しいこと。そもそも、お弁当なので、店舗で出されるカレーライスのように、熱々の状態で食べる機会は少ない。

では、なぜ、美味しさを保てるのか。

「牛肉の出汁をしっかりと取っており、その旨みがあるため」と、高橋さん。

加えて、欧風カレーなので、冷めると小麦粉は固まったり、ベタついたりしやすいが、バターや牛肉の油分をしっかりと撹拌させることによって、小麦粉の間に油分が入り冷めた時にもやわらかく、食べやすいようにしているのだという。

もちろん、作り手としては、「できれば温めて召し上がっていただきたい」(高橋さん)のが本音だ。

ただ、以前、テレビ局に電子レンジをサービスで持っていったが、誰も使わなかったという。温めている時間もないほど忙しいという見方もできるが、きっと、常温や冷めた状態でも、充分美味しいことを分かっているからだろう。

ちなみに筆者は、いただいたお弁当を半分は冷たいままで、残りは温めて試食。温めることでスパイスはより香りが開き、ご飯も美味しさがアップ。付け合わせの、丸ごとふかしたジャガイモもホクホクさが増すので、両方を試してみてもいい。

ゴロリと大きなビーフが入る
受賞者のみなさん
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市村 幸妙
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