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通用門としての役割

宮内庁の最寄りの門といえば坂下門であるが、物資を届ける配送業者や、郵便のトラックなどが出入りする際には、乾門が指定される。これが「通用門」といわれる由縁である。門前には、首都高速道路の代官町ランプがあり、高速道路を利用する天皇ご一家や、皇居を訪れる皇族宮家のクルマもこの門から出入りする。

また、乾門は知る人ぞ知る皇室の方々を間近でお出迎えできるスポットでもあり、その通行が見込まれる日には多くの皇室ファンが集まる。

行事によっては、大型の観光バスも出入りする=2012(平成24)年6月14日、皇居・乾門(東京都千代田区千代田)
お出迎え者のなかに小さなお子さんを見つけ微笑まれる上皇后美智子さま(当時は皇后陛下)=2006(平成18)年12月7日、皇居・乾門(東京都千代田区千代田)

不審者の侵入を防ぐ

皇居の門のうち、一般道からのアプローチが容易な門は乾門であり、以前には不審者や不審車両の突入などを不安視する声もあった。2008(平成20)年3月には、強行突入を防ぐことを目的として、門の正面に「生け垣」が設置された。

ここを通過する車列は、この生け垣を避けるように徐行するため、皇室ファンからは「クルマが目の前をゆっくり通過するので、1秒でも長くお姿を拝見できる」と、喜ぶ声も聞かれる。

生け垣を避けて通行する天皇、皇后両陛下の車列=2008(平成20)年8月15日、皇居・乾門(東京都千代田区千代田)

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。

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