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宣伝に使用しない

1891(明治24)年に許可制となる以前は、無断で「御用達」の使用が相次いだこともあったそうだ。1935(昭和10)年には、さらに厳しい許可制とし、商売に「宮内庁御用達」を使用しないように求めた。この宣伝使用の禁止は、現代の宮内庁における物品購入においても同じで、「物品の製造・納入の一切の事実を宣伝広告等に利用してはならない」と契約書に記されている。

そもそも、御用達制度は1954(昭和29)年に廃止された。しかし、廃止後も「御用達」と表記しているところもあり、「矛盾していないか?」と1975(昭和50)年に国会で議論になったことがあった。当時の宮内庁長官は、「いろいろなものについて宮内庁に納めるという意味で使っているものはございます」とし、「不当にそれを利用することがなければ、当方としてはそれがはっきりしない以上はいまのところ黙認のような形でございます(答弁速記録より)」と答弁した。そのためなのか、今でも「御用達」を掲げる会社や商人は存在している。

御料自動車の購入契約書の写し。第16条に「宣伝広告等に利用してはならない」の記述が見てとれる=資料提供/宮内庁
「宮内庁御用達」の札を掲げる商店は現在もある

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。

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