大阪スパイスカレー、その原点は甘辛い欧風カレー
東西の味覚の違いで、定番となっているのが関東はしょっぱい、関西は薄味というのがある。間違いではないと思えるが、ただしそこに、もうひとつポイントが。関西でも特に大阪は薄味に加えて甘い味わいが好きなのである。
カレーに関しても、それがポイントとなっている。スパイスカレー天国の大阪で原点と言えるのが欧風カレー。
1947年創業の『インデアンカレー』を筆頭に1980年代に創業したといわれる『カレーハウス サンマルコ』や『ピッコロカリー』といった大阪を代表する欧風カレーの大きな特徴が、辛さの前に感じる甘さ。フルーツや玉ねぎなど独自の特徴がありながらも、最初にしっかり甘さを感じさせることで、あとからやって来るスパイスの辛さをより強く感じさせる。
このいい意味で裏切られる甘いと辛いのコントラストが大阪の欧風カレーの魅力のひとつ。これらの店に影響を受けたカレー店が、独自の辛さの工夫として、さまざまなスパイスを使ったことから大阪のカレーファンの舌がスパイスにならされていった。
また、中央区の本町や北浜周辺にはインドから繊維や雑貨を輸入する商社が多いことからインド料理店が多数あり。スパイシーなカレーが身近な存在になった理由のひとつとして考えられる。
2012年頃からグッと増えたフリーダムなカレー
インドでも欧風でもアジアでもないスタイルのスパイシーなカレーが注目を集め始めたのは2012年頃。
2006年創業の『バンブルビー』でカレーを食べて、「スパイスを使って料理をすればカレーなんや!」と思ったという『スパイスカリーバビルの塔』の店主のような既存のカレーライスという形にとらわれなくてもいいと感じていた店主たちがスパイスカレーの店をオープン。
同じ頃、『curry bar nidomi』や、後に東京にも店を構える『旧ヤム邸』などの第1世代的な店が登場していった。
さらにこれらに影響を受けた『BOTANI:CURRY』や『NOMUSON CURRY(ノムソン カリー)』、『Asian Kitchen Cafe百福』など、次世代的な店が出現し始めた2014年夏に専門誌『究極のカレー』がぴあ社から創刊。
さらに、大阪のカレーシーンが盛り上がった2016年には、現在も定期的に開催されている人気イベント「カレーEXPO」がスタート。会場の万博記念公園に30の店が集結した。このイベントの第5、6、9回でグランプリを獲得した『SPICE★CURRY43』のように、個性的で自由な発想のスパイスカレーが、次々に大阪で生み出されている。
『SPICE★CURRY43』あいがけ 瀬戸内レモン+カリカリ梅+スパイス煮玉子 1350円